【すしりく】青春、キミ色に染まる。 (ページ13)

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#13 ページ13

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あまり見つめ過ぎたのか

彼は、不意に顔を上げてその瞬間目が合った。

気付いた彼は、ぱぁっと笑って

お盆を持って立ち上がった。

(わわ……こっちに来る)

一歩ずつ距離が縮まるたび

鼓動が速くなっていく。

「一緒に、いい？」

小さく頷くと、陸くんは私の正面に座った。

今朝、隣に並ぶのは平気だったのに

向かい合うと緊張する。

冷房の効いた室内なのに一気に暑く感じて

頬が火照っていないか心配になった。

「A、弁当なんだー」

「あ……うん！」

返事をしてから思う。

……“うん”じゃなくて

もっと上手い返しすれば良かった。

でも、いくら、

脳内でシミュレーションしても

陸くんの前だと、緊張してぜんぶ飛んじゃう。

「自分で作ってるの？」

私はこくりと頷く。

また“うん”と言い掛けて

慌てて軌道修正したんだ。同義なんだけど。

陸くんは何か思いついたように

少し前のめりになった。

「じゃあ、明日……
俺のも作って来てくれない？」

無邪気に笑うその表情にどんどん想いが加速する。

「うん……！」

今は、今のは、

“うん”で間違ってないよね？

心がふわふわする。

胸が苦しくて、でも嫌じゃない。

─────ああ、やっぱり、

私は陸くんが好き。

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