【すしりく】青春、キミ色に染まる。 (ページ2)

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「……」

男子と話すのは苦手。

何だか緊張してしまうから。

教室に男子と二人きりだというこの状況も

相手が陸くんだと……

すしらーめん《りく》だと分かっていても

その場に立っているのがやっとだった。

上手く話せないからきっと、

陸くんも私と話すのはつまらないだろう。

口を噤んだまま、

陸くんの動作を何気なく目で追っていると

陸くんが問うてきた。

「Aさんは彼氏いないの？」

「えっ？い、いないよ！」

彼氏なんて出来る筈ない。

好きな人だって幼稚園以来ずっといないのに。

「へぇー、意外！絶対いると思ってた」

なんて陸くんは笑う。

「……！」

こんな人見知りな性格なのに

絶対に、面白くない筈なのに

陸くんは自身の忘れ物を回収してからも

机の上に座って話し掛けては私の返事を、

待ってくれていた。

「私……」

気付けば、勝手に口が動いていた。

男子が苦手だとか、

そういうことを考えるまえに。

陸くんと、話していた。

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