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「Aって、
俺のことどう思ってるの？」
唐突に投げ掛けられたそんな質問に
思わず口に含んでいたドリンクを
吹き出しそうになる。
数度、小さく咳き込んでから
「ど、どうって何？」
と尋ね返した。
「そのまんまの意味だよ」
いきなりそんなことを
真顔で聞かれても。
「好き？」
どんな意図があるのか
さっぱり分からない。
『好き？』とか『嫌い？』とか
そんなストレートに訊かれたら
否定も肯定も出来ない。
「……意味わかんないよ」
私はわざとらしく椅子を鳴らして
立ち上がるとさっさと彼に背を向ける。
「……ねぇ」
半分だけ振り返って見ると
エイジは頬杖をついて
微かに口角を上げる。
「俺は言っとくけど、
Aのこと友達だとか思ってないから」
(……)
要するに、嫌いってこと……？
でも直接本人に、面と向かって
『嫌い』だって宣言する人の表情には
どうしたって見えないけれど。
単なる自意識過剰だろうか。
“アバンティーズのエイジ”と
こうして二人で過ごせている今に、
浮かれ過ぎていたのかな。
「そっ、か……」
そら君に比べると、
彼には冷たく接してきたのだから
嫌われてても仕方がないのかも知れない。
だけど、じゃあ、
わざわざ『嫌い』だと宣言する為に
私をここへ連れてきたの？
「……そうだよね」
無理矢理、口の端を持ち上げてみても
頬は強張ったまま。
自分でも気付かないうちに
心は傷ついていたみたいで
平静を装うことが中々に難しい。
「今日はありがと。……じゃあね」
これ以上、一緒に過ごせるとも思えなくて
その場から逃げるように踵を返す。
小さく、だけどはっきりと
背中に投げ掛けられた言葉が
小さく心を抉った。
「勘違いすんなよ」
それが何の『勘違い』なのか、
このときちゃんと確かめれば良かったのに。
勝手に傷ついて、勝手に傷つけて。
本当に困るくらいに
私も彼も素直じゃないから─────。
だからこんなにも、
複雑に絡み合う恋模様になったんだ。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2017年3月26日 7時
