〃 ページ41
.
しょこはいつもこうだ。 正直、その死に方には腹が立ってもおかしくないのに、決して他の人の悪口を言わない。 文句も愚痴も言わない。 ゲームでも
そんな穏やかな気性に甘えている自覚はあった。 私がつい言い過ぎても笑ってくれるから、余計に素直になれなくて────。
『……あのさ。 ちょっと聞きたいことあるんだけど』
何だか改まったように言われ、思わず身構える。
「何？」
『Aちゃんってさ、その……彼氏、とか、いるの？』
どくん、と心臓が跳ねた。 彼氏の有無を聞かれるのは脈ありだって、何処かで誰かが言っていたことを思い出したからだ。
「い、いない！ いたらこんなふうにしょこと二人でゲームとかしないし」
焦って余計なことまで口にしてしまう。 だから可愛げがないのだと分かっていても、しょこの前では照れくささが邪魔をして上手く出来ない。
『あ、そっか！ じゃあこれからもAちゃんとゲーム出来るってことね。 良かった』
何なんだろう。 そのために聞いたのだろうか。 そんなにゲームしたいの？ 私と？ その“良かった”は、ゲームが出来ることに対してだけ？ ……いやいや、それはさすがに自惚れ過ぎ？
たったそれだけの返答が、私を惑わせる。 しょこに思考を奪われてばかりいる。
何も言えずにいると、画面が切り替わった。 マッチングしたのだ。 全員が“準備完了”を押すと、ロード画面に移った。
『実は相談があって』
いつも朗々としている彼の声が少し弱くなる。 それでいて含みを持っているかのようで、何だか胸騒ぎがした。
「相談？」
『……うん。 あのさー、俺』
言いづらそうに口ごもるしょこを急かすように、ロード画面の進捗バーが進んでいく。 制限時間のようだ。 同じ画面が彼にも見えているはず。
『好きな人出来た、から……何かアドバイスとか欲しいなって』
やっぱり、と思ってしまった自分が悲しい。 語り出した時点で察せられるほど、しょこだけを見てきた証拠だった。 でも、彼の目には他の誰かが映っている。 心の中に空洞が出来て、空気がすとんと落ちていった気がした。
「……へ、へぇー。 どんな人？」
平気な振りをして聞き返すと、ロードが明けてマッチが始まった。 正直全然集中出来ない。 キーボードを動かす指もマウスに添えた手も重く沈むようだ。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小桜ふわ(プロフ) - 梨さん» あ、レス早過ぎましたね！すみません！; 恐れ入ります、遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした…！ ありがとうございます！そのお言葉を糧にこれからも精進します！ (2022年3月20日 2時) (
レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
梨 - 小桜ふわさん» 続きです(文字数都合の為) お忙しい中、執筆いただき本当にありがとうございます！これからも陰ながら応援しております (2022年3月20日 1時) (レス) id: 622b87d304 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - 梨さん» とんでもないですー！喜んで頂けて良かったです…！あたたかいお言葉に安心しました(´ω`*) 実は結構やっております笑笑 梨さんもやってらっしゃるんですね！マッチした際にはよろしくお願いします笑 リクエストありがとうございました！(*^^*) (2022年3月20日 1時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
梨 - 小桜ふわさん» わーー！非常に素晴らしい作品ありがとうございました...好きなゲームネタがあって嬉しいのと、夢主ちゃんとしょこさんとても可愛いすぎてほっこりしました(´ω｀*)小桜ふわ様もあのゲームされてるんですね！楽しいですよね〜！(私もビビりながらもやらせて頂いてます) (2022年3月20日 1時) (レス) @page43 id: 622b87d304 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - 梨さん» はじめまして！しょこ了解致しました！(｀・ω・´)ゞ 気長にお待ち頂けると幸いです…！ 恐れ入ります。リクエストありがとうございます！ (2022年3月12日 8時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2021年6月11日 10時
