#恋の予感【とりっぴぃ】 ページ14
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今日は文化祭当日。
私のクラスのカフェは思わぬ大盛況となり、受付係が私一人では回らなくなってきた。
けれど、シフトが入っているメンバーは接客で大忙しだし、入っていない人たちは他のクラスを回っているようだ。
つまり手伝いを頼める人はいない。
(大変だけど仕方ないか……)
しばらくはひっきりなしにやって来るお客さんへの対応に追われそうだ。
なんて諦めかけたとき。
「何名様ですか?」
なんて、私が言うはずだったセリフを、列の先頭に並んでいたお客さんたちに向けて放った誰かの背中が視界を遮った。
「え! と、とり先輩!?」
その正体は一つ年上のとりっぴぃ先輩だった。
ふわふわの髪を揺らしながら振り向き、笑いかけてくれる。
「忙しそうだから手伝いに来た」
とり先輩とは委員会が同じで親しくなったのだけれど、ちょっと眠そうな優しい目が印象的で、柔和な性格から女子の間でも人気だった。
その優しさは本物で、実際何度も彼の気遣いに救われてきた。
「そんな! 悪いですよ、クラスも学年も違うのに」
「いいんだって。 俺、今クラスのシフト入ってないし回るのも飽きてきたしさ」
と、隣に並んで一緒に受付の仕事をしてくれるとり先輩。
正直本当に困っていたので、その申し出に甘えさせて貰うことにした。
*
それからしばらくすると、だいぶ人の波が引いた。
思わず伸びをしてしまう。
「お疲れ」
はは、と笑いながら声をかけてくれる先輩。
「先輩こそお疲れ様です!
すみません、本当に……凄く助かりました」
「全然気にしなくていいよ。
Aちゃんの隣で仕事すんの楽しかった」
決して深い意味があるわけではないと分かっていながら、先走ってしまった心臓がどきどきと素早く脈打っていた。
「……あのさぁ、」
ふと、いつもは淀みない先輩の口調が曇る。
「Aちゃんって、その……彼氏とかいるの?」
「い、いないです!」
先輩の表情は真面目に引き締められていて、普段との違いに少し戸惑う。
「あ、そうなんだ! よかった。
じゃあさ、せっかくだから一緒に写真撮らない?」
打って変わって意気揚々とスマホを取り出した先輩に「ぜひ!」と頷く。
“よかった”の意味を考え出したら、本当に勘違いしてしまいそうで、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
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小桜ふわ(プロフ) - 梨さん» あ、レス早過ぎましたね!すみません!; 恐れ入ります、遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした…! ありがとうございます!そのお言葉を糧にこれからも精進します! (2022年3月20日 2時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
梨 - 小桜ふわさん» 続きです(文字数都合の為) お忙しい中、執筆いただき本当にありがとうございます!これからも陰ながら応援しております (2022年3月20日 1時) (レス) id: 622b87d304 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - 梨さん» とんでもないですー!喜んで頂けて良かったです…!あたたかいお言葉に安心しました(´ω`*) 実は結構やっております笑笑 梨さんもやってらっしゃるんですね!マッチした際にはよろしくお願いします笑 リクエストありがとうございました!(*^^*) (2022年3月20日 1時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
梨 - 小桜ふわさん» わーー!非常に素晴らしい作品ありがとうございました...好きなゲームネタがあって嬉しいのと、夢主ちゃんとしょこさんとても可愛いすぎてほっこりしました(´ω`*)小桜ふわ様もあのゲームされてるんですね!楽しいですよね〜!(私もビビりながらもやらせて頂いてます) (2022年3月20日 1時) (レス) @page43 id: 622b87d304 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - 梨さん» はじめまして!しょこ了解致しました!(`・ω・´)ゞ 気長にお待ち頂けると幸いです…! 恐れ入ります。リクエストありがとうございます! (2022年3月12日 8時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2021年6月11日 10時