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カンタくんは項垂れるように椅子に落ちた。
エイジくんも椅子に座る。

「じゃあ、何?
自称預言者でもない、霊媒師でもない、共有者でもない、まだ占われてない人ってこと?」

ぶんけいくんが尋ねる。

「俺とポッキーとカンタ。
この3人から選ぶべきだと思う」

陸くんが答えた。

名前が出たことに動揺する様子のカンタくん。
きっと、怯えている。

彼は「俺は違う」と一言。

「ちなみに俺は、推理に協力してる」

陸くんは強気な声色で言った。

「ちょっと待って。 どう考えても俺は違うよ……」

カンタくんは震える声で主張した。

まともにゲームをする気があろうとなかろうと、誰かには投票しなくちゃいけない。

そしてその投票が不自然に見えちゃいけない。



「俺、見た……」

と、はじめくんが立ち上がる。

「カンタが、人狼だったあーずーと話してるとこ」

……私も見たかもしれない。
たぶん、屋上から戻るときのことだ。

「ちょっと」

カンタくんが焦ったように立ち上がる。

「そんときは気づかなかったけど、あれは人狼同士の会話だった」

「は、話くらいするよ!」

「ほら認めた」

はじめくんは淡々とカンタくんを追い詰めていく。

「俺、本当に見た。 それに……殺すとか言ってた」

「ちょっと待って! 意味わかんない!」

カンタくんが混乱したように叫ぶ。

あのときの私の位置からは何を話しているのかまでは聞こえなかった。

でも、私より前にいたはじめくんには聞こえていたのかもしれない。

「現時点で1番怪しいのはカンタってことだよ!」

はじめくんが怒鳴った。
カンタくんは錯乱したようにまた、何かを叫んだ。

誰かのカウントダウンが聞こえる。

分からない。分からない。
嫌だ、やりたくない。 投票なんかしたくない。

1、と聞こえ、皆が一斉に腕を上げた。

ポキくん、陸くん、そらくん、はじめくんはカンタくんに。
自称預言者はお互いに。
カンタくんはポキくんに。

「A!」

陸くんに名を呼ばれ、私がまだ誰にも投票していないことに気がついた。

入れなきゃ。でも、嫌だ……!

せっかく、せっかく助かる方法を見つけたのに!

「いいから入れて! 早く!」

陸くんが叫ぶ。

頭の中がぐしゃぐしゃにかき乱されて、もう何も考えられない。

「指して!」

ただただ、彼の言葉に従った。
彼の言葉通りの動作をした。

慟哭しながら、カンタくんを指さした。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年8月15日 23時

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