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「待って」
彼が慌てた様子で彼を引き止める。
「外に出たら本当に死ぬから！」
長身の彼の声を背中に受けながらも彼は足を止めない。
それを見た長身の彼は畳み掛けた。
「もしお前が村人側ならどんなに馬鹿でも余計なことすんな！」
すると、ぴたりと彼は立ち止まり振り返った。
「馬鹿って何だよ。おい……っ」
長身の彼の方に向かって行き、掴みかかるほどの勢いだったが、赤い髪の男子が彼を押さえ込んでその場は収まった。
怒鳴ったり椅子を蹴飛ばしたり、今のも、彼は結構短気なのかもしれない。
【毎晩この部屋に集まってください。
8時になったら、人狼と思われる人を1人、投票で決めてください。】
やはり画面はこちらのことなどお構い無しだ。
【最多票を集めた者は処刑されます。
該当者が複数いた場合、それ以外の者による決選投票で決めてください。】
処刑されます、って……この首輪が締まる、とか？
そう考えて鳥肌が立った。背筋を這うような悪寒も感じる。
【決められなかった場合、全員処刑されます。】
つまり、この中からそれぞれ殺したい人を1人選び出さなければいけなくて……。
それが出来なければ、全員死ぬ？ 殺される？
とても現実とは思えない。
でも、この張り詰めた空気感は確実に私たちを蝕んでいっている。
【皆さんは夜10時から朝6時までは自分の部屋にいてください。
ただし人狼は夜12時から2時までの間に部屋を出て、誰か村人を1人を殺してください。
預言者は毎晩誰か1人を選んで、その人が人狼側か村人側かを占うことが出来ます。】
それから、占いの方法も表示された。
画面によると、狂人は村人側と表示されるらしい。
【霊媒師は毎晩、直前に投票で処刑された者が人狼側か村人側かが分かります。
結果は部屋のテレビ画面に表示されます。
用心棒は毎晩、1人選んでその人を人狼の襲撃から守れます。
ただし自分を守ることは出来ません。
共有者は2人1組で、お互いが村人であることを知っています。】
すべての役職の説明を読んでも一度で覚えられるかは微妙だが大まかには理解出来た。
村人と狂人は特に特別な能力はないみたいだ。
【人狼が全滅した場合、村人側の勝利。
村人側の人数と人狼の人数が同数になった場合、人狼側の勝利。
狂人は村人側として数えられ、能力も村人と同じですが、人狼が勝利した場合に勝利となります。】
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年8月15日 23時
