検索窓
今日:6 hit、昨日:9 hit、合計:29,818 hit

2-13 ページ29

.



「残念だけど、やるしかない……」

陸くんが言った。
彼の言う通りだ。やるしかない。

私は脱出の可能性を得た。
だけど、まだ首輪は切断出来ていない。

今夜は誰かに投票するしかない。

「……っ」

私は口を噤んだ。 あまりにも無力だった。



「そらと、そっちの奴。
2人の関係においては、お前の論理は成立しない」

そらくんとさぁやちゃんを順番に指して、とても冷静に、エイジくんが言ってのけた。

冷たい笑みを含んだ目で、あーずーを見据えている。

「何で」

彼女は戸惑ったようにエイジくんを見る。
彼は「そら」と呼びかけた。

「あいつの役職を言え」

さぁやちゃんが俯いていた顔をわずかに上げる。

そらくんは彼の言葉に目を丸くし、エイジくんとさぁやちゃんを見比べる。

そののち、ぽつりと言った。

「……俺と同じ、共有者ってやつ」

誘拐犯の思い通りにはなりたくない、まともにゲームをする気なんてない、とは、思っていた。

だけど、さすがに驚いてしまった。

さぁやちゃんがもう一人の共有者だったのだ。

だけど当初の話では、2人目の共有者はオープンにしない方が良い、って。

今回は一人だけカミングアウトする、って、そういう戦法をとったはずだった。

さぁやちゃんも同じことを考えたらしく、そらくんの顔をまじまじと見ている。

「何で言うの?」

そらくんはエイジくんの顔色を窺う。

「あらぬ疑いをかけられたんだから、仕方ない」

そのエイジくんはこともなげに言い放った。

「仮にこの2人の間に行き違いがあったとしても、その一方が人狼だ、ってことにはならない。
2人は共有者。 お互いに相手が村人側だと知ってる」

「でもまぁ、ある意味」

ぶんけいくんがあーずーに言った。

「あーずーの推測は正しかったことになるね。
相手が人狼やないっていう確信がない限り、下手なことは出来ない」

思わず私はポキくんの方を見てしまった。

彼は、私が人狼じゃないことを知っていた?
だから大胆な行動に出られた?
……つまり、彼は人狼ということ?

私の視線に気づき、私が考えていることを察して、ポキくんが慌てて首を横に振る。

あーずーは愕然とした表情で、さぁやちゃんに確認した。

「本当なの?」

さぁやちゃんは静かに頷き、苦しげに続ける。



.

2-14→←2-12



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
370人がお気に入り
設定タグ:YouTuber , 人狼ゲーム
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:小桜ふわ | 作成日時:2019年8月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。