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「お前かよ……」
そらくんが呟く。
私も同じ気持ちだった。
はじめくんは、昨日は「霊媒師がいるなら名乗り出て欲しい」みたいなことを言っていたのに。
「何で黙ってたの？」
と、カンタくん。
「言ったら狙われるじゃん！
用心棒が守れるのは1人だけ。
人にもよると思うけど、もし俺が人狼ならまずは霊媒師から狙ってく」
「でも正体を明かした」
「それは……人狼が分かったから」
躊躇いがちに言うはじめくん。
場にさっと緊張が走った。
「昨日投票で死んだあーずーは」
はじめくんは硬い表情で全員に言った。
「人狼だった」
私の脳が回転し、得られた情報を何とか理解しようと努める。
「えっと……ってことは？」
そらくんがエイジくんの方を窺った。
「俺の占いは当たってた。
俺が本物の預言者だってこと」
彼は対面に座るぶんけいくんを真っ直ぐ見据える。
ぶんけいくんはふらりと視線を逸らした。
「少なくとも俺たち2人とそいつは村人側が確定してる」
それは、エイジくん、そらくん、はじめくんのことだ。
「そんなことないでしょ」
ぶんけいくんはテーブルに肘をついて反論する。
「人数だって減ってるんやし、たまたま当たっただけかも。
それか、人狼が仲間の人狼を切り捨てたのかもしれない」
「何でそんなことすんの？ メリットある？」
と、エイジくん。
「人狼の考えることなんて知らないよ。
殺す順番で揉めたとか？」
ぶんけいくんは腕を組み、椅子の背もたれに背を預けた。
「2人、」
陸くんが口を開きエイジくんとそらくんを見つめる。
「2人はあーずーと明らかに険悪だった。
もし、このパートナーならいらないって考えたんだとしたら、そういう裏切りもあるかも」
「いや、それはない」
エイジくんが断言する。
「俺はこのゲームに勝ちたい。
もし俺が人狼なら、人狼側の人数を減らしたりしない」
「だとしたら、狂人？
エイジは、場を混乱させようとしてる……」
陸くんと、エイジくんの視線が交わる。
エイジくんは片方の口角をわずかに持ち上げ、改めて陸くんを見た。
「俺の言うことを素直に受け入れない、お前が怪しい」
「……」
陸くんは黙って彼を見返している。
他の皆の目線が交錯する。
互いの反応を、窺っている────。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年8月15日 23時
