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悲痛な叫びだった。
彼女に向ける言葉も見つからない。
「生きたかった……！」
ただただ両手を震わせ、黙って見つめ返すことしか。
ピピッ、と目の前で首輪の作動音が聞こえた。
あーずーのすすり泣く声が止む。
彼女の首輪が耳障りな音とともに締まっていく。
肌と首輪の間に指を入れ、必死に直径を広げようとするけれど、モーターの力は彼女の筋力よりも強い。
輪がみるみる小さくなっていく。
彼女の指ごと首を絞める。
「うっ、ぅ……ぁあああああああ!!!」
あーずーの身体の震えが大きくなる。
踵が浮き、彼女が限界まで背伸びをする。
直後、糸が切れたみたいに、唐突に彼女の身体から力が抜けた。
彼女の身体がばったりと斜め前へ倒れた。
モーター音が消える。
彼女は微動だにしない。
私は震えが止まらない指先を見つめた。
この手が、殺した……。
*
皆で彼女を運んだあと、私はポキくんに呼ばれた。
厨房の死角の部分で彼と2人、調理台にもたれかかって立つ。
「何であんなこと言ったの？」
と、ポキくん。
「どうやってここを出るか考えよう、とか」
彼が何を怒っているのか、すぐに分かった。
私のあの発言は誘拐犯たちを警戒させる……。
「外せるかもって、出られるかもって思ったら……こんなゲーム、真剣にやるべきじゃない。誘拐犯の思うまま」
私の言葉に、ポキくんはゆっくりと顔をこちらへ向けて言う。
「バレたら終わりだよ」
そうだ────、もう同じ過ちを犯すつもりなんてない。
もっと慎重に動かなくては。
私は唇を噛み締め、心を無理矢理落ち着かせた。
*
深夜の12時を回っている。
私は自室で机に向かい、耳を塞いで俯いていた。
姿の見えない人狼たちに怯えながら。
「いやぁぁぁあ！」
扉の向こうから、悲鳴が聞こえてきた。
かなり近い。心臓がばくばくと脈打つ。
思わず肩を竦める。
今の……、今の声は、女の子のものだった。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年8月15日 23時
