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「私たち以外にまだ5人いるんだよ」

マホトは俯いたまま、私の話に耳を傾けていた。

私は小さい子を諭すような口調で続ける。

「村人側と、恋人側。
色んな思惑があってもおかしくない」

それに、と私が言うと彼はゆっくりと顔を上げた。

「なるべく人数を減らして勝てば、賞金の分け前が増える──────」



「……投票は誰に入れるつもりだよ」

「陸か、そらか……。
どちらにしても自称預言者は減らしたい」

マホトは私と目を合わせない。

信じてよいものか、まだ思いあぐねているのだ。

「それでも私が信用出来ないなら夜中に私を殺せばいいし、他の奴を殺すのもあんたが選べばいい」

私はマホトから一切目を逸らさなかった。

彼は小さく何度か頷き、

「……わかった」

と絞り出すような声で言った。

そこでひとまず緊張の糸が切れる。

私は立ち上がると扉の方へ歩いていく。



「マホト」

その途中で立ち止まり、呼びながら半分振り向いた。

ベッドに腰掛けたままの彼が私の方を向く。

「昨日の投票……本当は辛かったんでしょ?
────美希さん殺したの」

彼は初日の夜、彼女を“利用してるだけ”だと言っていたが、実際には違うのだろう。

あれは、自分が傷つかない為の嘘。

昨日の夜の涙こそ、本当の気持ち。



私はそこにつけこんだ。

「絶対、勝とうね」

それだけ告げるとすぐに顔を背け歩き出す。

部屋を出る瞬間に見えたマホトの表情に私は唇の端を結んだ。



*



そして迎えた投票の時刻。

私たちは全員、既に着席していた。



「俺は、本物の預言者」

そらが誰とも目を合わせぬままさっそく口を開いた。

「もし俺が偽物なら、2日連続で人狼を見つけたなんて、こんな大胆な嘘はつかない」

マホトが盛大に顔をしかめたけれど、そらは気付かないふりをして続けた。

「でも────あくまで可能性の話をすると、俺や陸は仮に偽物でもキューピッドの可能性がある」

だけど、と彼は私とリクヲを指さす。

「この2人……黒出しされた自称用心棒2人についてはどっちかは必ず人狼」

「だから?」

という私の言葉を、そらが声のトーンを落として「“だから”?」と繰り返した。

「そんなの決まってんじゃん!
2人のうちどっちかを吊ろうって言ってんの」

彼はリクヲを指していた腕を下ろす。

「具体的にはA、お前を!
人狼を減らさないと村人側は勝てない」



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2018年3月10日 16時

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