【YouTuber】人狼ゲーム 8 (ページ30)

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どのくらいの時間、そうして殴り続けていたのか。

翌朝、明るくなってから改めて目にしたツリメの死体は見るに堪えないほどむごかった。

顔は腫れ上がり、所々切れた部分からは血が出ていて今は固まっている。

目や頬、見えるところは青紫色の痣だらけだ。

目は原型を留めておらず、鼻は変なふうに折れている。

「……」

みんな、黙って死体を見下ろしていた。

そのうちに1人、また1人と疎らに部屋を出ていく。

最後に私とマホトが残った。
そっと彼を窺うと苦しそうに顔を歪めていた。

*

屋上で、陸と2人並んで立つ。

彼は辺りを見回してから抑えた声で言った。

「俺は、今日は誰かに黒出しするつもり。
……特に選んだ方がいい人とか、ある？」

「どうだろ」

パッとは思い浮かばなかった。

「……反論出来ない、押しの弱そうな奴」

「わかった」

朝の陽射しが屋上を照らす。

優しい風が頬を撫でた。

「これに勝ったら、外で会ってくれる？」

陸が控えめに、そう言った。

「久しぶりに、好きなこと思いっきりして遊びたい」

彼の横顔を見やり私は「うん」と頷く。

「いいよ。……絶対また会おう」

「ありがとう─────」

陸は微笑んだ。本当に嬉しそうに。

私も嬉しかった。

こんな殺戮ゲームで、友情が生まれるってことを知れたから。

生きる意味を、もうひとつ見つけた。

*

朝食をとってから、これまでのように食堂に集まる。

人数が減ってきた。

けれどまだ、これからだ。

「霊媒の結果だけど」

皆が席につくなりマホトが言った。

「美希は白だった」

彼はわざと難しい表情を作っている。

「だからまぁ……あいつはキューピッドだったって事かな」

誰も口を挟まず、黙って聞いていた。

「偽物だけど人狼じゃなかった。
でも誰も同時に死んでないから、恋人でもない」

仮にマホトが偽霊媒師だった場合(実際にそうなんだけど)、そのことが本物のキューピッドには必ずバレてしまう。

そうした不利な要素を含んでいるだけに、彼の話はいかにも本当らしく聞こえた。

恐らくそれが狙いだろう。

もしくは、単に深く考えていないだけか。

どちらにしても、この場には“マホトが本物”という空気が広がった。

「申し訳ないけど」

そのありがたい空気をそらがぶち壊した。

「その発言は無意味」

「は？」

マホトが彼に食ってかかる。

「昨日の発言は撤回する。
……Aは村人だって言ったけど、実際には人狼だった」

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