【YouTuber】人狼ゲーム 8 (ページ20)

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私たちは食堂に戻ってきた。

着ていたブラウスを脱いでタンクトップ姿になる。

水道の蛇口を捻り、手や腕、顔を洗い始めた。

茫然としたままテーブルに座るマホトが口を開く。

「何なんだよ……“人狼”って」

私は滴る水を拭って、手を止めた。

「こんなこと毎日するのかよ」

─────前回、村人だった私は毎朝人狼による犠牲者が出るたびに、よくこんなことが出来るものだと無意識に人狼の人たちを蔑んでいた。

でも、違う。

彼ら彼女らだってやりたくてやってるんじゃない。

望んで得た役職じゃない。

こんなにしんどいことを毎晩やって、それでも朝には普段通りでいなきゃいけなくて、処刑されるときも、皆に“死”を望まれるなんて、本当に残酷だ。

だけど。

マホトが言う“こんなこと”も、家族を救うためなら上等だ。

自分が生き残るためにやってやろうじゃないか。

「……私は絶対に勝たなきゃいけない」

そして─────。

「絶対に家に帰らなきゃいけない」

こぼれ落ちた一粒の涙が水に溶けた。

上げた視線の先の、マホトと目が合う。

『あんたも覚悟を決めて』

……彼は何も言わず、口の端を結んで私を見つめ返した。

窓の外が眩(まばゆ)く光る。

降り出した雨と激しい雷が、夜の闇に包まれていた。

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