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「まだ何も言わないで。
まずは僕の言う通りにして貰います」
誰も喜んで従おうとはしなかったけれどここで反発する意味もない。
「このゲームは、人狼を全滅させれば村人側の勝利。
人狼と村人側の人数が同数になればその時点で人狼側の勝利。
あとはゲーム終了時に恋人が生きているかどうかです」
『恋人』は第三陣営だけど『狐』なんかとは違って、あくまでサブ役職。
つまり私は『恋人』と、もう一つの本役職の勝利条件も満たさなければいけない。
「もう分かっているかと思いますがこのゲームから逃れる方法はありません。
そして負ければ……本当に死ぬ」
感情が込もっておらず、淡々としている虫眼鏡。
「これは通常の“人狼ゲーム”とは違い、人狼同士、恋人同士、自由に会話出来る。
ずっとは無理ですが少なくとも今はそれを阻止したい」
「あんたが村人側っていう保障はないでしょ」
「必死な村人アピールに見える」
私に、てつやが続いた。
「そう思って貰っても構いません。
ただ……僕が人狼や恋人ならこんな提案はしない!」
前のめりになって言う虫眼鏡。
彼が村人側なのはきっと火を見るより明らかだろう。
「お前 本当うぜぇわ……」
苛立つマホトが呟く。
二人はどうもそりが合わないみたいだ。
「村人からの提案として、まずは預言者に名乗り出て欲しい」
「重要な役職だから、だよね」
虫眼鏡の言葉に、そらがそう返す。
「村人側としては間違って投票するわけにいきません。
名乗り出れば夜は用心棒に守って貰える。
……異論のある人?」
当然ここで手を挙げる人などいない。
無条件で怪しまれる。
ここは私も賛成だ。
「自分が預言者だという人は一斉に手を挙げてください」
虫眼鏡がカウントダウンを始める。
(どうする?)
騙るか、騙らないか。
ちら、と窺うようにエイジを見るが彼はこちらを見ることなく、悠々と腕を組んでいる。
「3、2、1」
結局、私は手を挙げなかった。
エイジも挙げていない。
挙げたのは3人。
虫眼鏡。
陸。
そら。
(3人……?)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2018年3月10日 16時