2-4 ページ24
.
陸が偽物で恋人陣営だとバレないように私への白出しを控えたのに。
まさかそらに白出しされるなんて。
「今のうちに言い訳っていうか。
マホトさんに信用させるための言葉、考えておいた方がいいかも」
陸はそう締めくくった。
「……わかった」
面倒だけど仕方がない。
やっぱりこのゲームは一筋縄ではいかない。
─────それから投票まで時間が経つのは直ぐだった。
*
「ねぇ、殺すのやめない？」
投票場に全員集まったのを確認して私はそう言った。
「皆、覚悟は出来てる筈。
だから自分から死ぬことにしようよ、潔く」
「どうやって？」
はじめが眉を上げて訊いてきた。
「この建物から出たら、これが絞まって死ぬ」
私は言いながら自分の首輪をつまんで見せた。
「そしたら、そのドアから自分で出ればいい」
投票場から外へと繋がる扉を指す。
全員がそれを確認した。
「もし、逃げたら？ 昨日の虫眼鏡みたいに」
はじめが指摘してくる。
「そんときは皆で捕まえて」
私の提案に、皆は少し考えるように黙り込んだ。
そして。
「……いいと思う」
最初に賛同してくれたのはツリメ。
「吊られたら、自 殺ね」
改めてエイジが告げる。
反論がないということは皆、受け入れたということだろう。
積極的に賛成ではないけれど積極的に反対する理由もない、という感じか。
「で、誰に入れんの」
エイジの問いにリクヲが答える。
「自称預言者か、自称霊媒師の中から選ぶ」
「利己的な意見になるけど、」
陸が控えめに、でも物怖じせずに主張する。
「重要度は預言者の方が上。
先に霊媒師を吊るべきだと思う」
「賛成！」
陸の発言にすかさずそらが声を上げた。
対立している自称預言者の2人だけど、さすがにこの点だけは意見が一致している。
「その2人だと、やっぱり彼女の方が本物っぽくない？
嘘とか、つけなさそう……」
と、リクヲがマホトと美希さんを気まずそうに見比べた。
「そうだよ。嘘なんかついてない！」
と、美希さん。
「────別に、マホトを庇うわけじゃないけど」
美希さんを残す流れを変えるために私は声を張った。
「みんな2回目でしょ？
嘘なんかつかなそうな人が嘘つくとこ、たくさん見てきたと思うけど」
「俺もそう思う」
陸が賛同してくれる。
今の発言は割と効果的だった。
場の空気を、少なくとも中立にまで戻せた。
誰もがマホトと美希さんを交互に、疑わしげに見ている────。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 422人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2018年3月10日 16時
