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「俺とそいつ、前回の勝者で2回目だけど」
潔く、隠すことを諦めたらしいマホトが自分自身と美希さんを指して言った。
「勝手に言わないでよ！」
彼女は泣きそうな表情を浮かべる。
それにしても、私も2回目だし、今回は“2回目”の人が多過ぎる気がする。
「もしかして……全員2回目なんじゃないですか!?」
同じことを思ったらしい虫眼鏡が全員を見回して問う。
「2回目の奴ちゃんと言えよ！」
てつやも同じように声を張った。
「……俺も2回目」
はじめが手を挙げる。
それに続いて、ツリメ、マホト、美希さん。
言わずもがな、虫眼鏡とてつや。
大半の者が2回目だと認めているのに、ここでわざわざ初めてだと嘘をつくメリットはない。
「……」
私もゆっくり手を挙げた。
その後にエイジ、そら、陸、と続く。
唯一、リクヲだけが挙げなかった。
「ふざけんなよ……」
てつやが怒ったように彼を見る。
「お前も2回目だろ。
さっきまで怯えてたのも、そういう演技だって知ってるからな」
「いい加減なこと言うなよ！」
リクヲはあくまで反論するがてつやが嘘をついているとは思えない。
「俺は前回こいつと一緒だった！」
てつやは立ち上がり、リクヲを指さす。
「そうやって弱い振りしてても結局、投票して殺してた！」
バラされたことに取り乱したリクヲが何か叫んで、てつやを睨む。
収集がつかない。
「もう時間だよ！」
私は叫んだ。
このまま首輪に殺されるなんて、そんな馬鹿なことはない。
「やらなきゃ死ぬ」
ツリメも同じように言った。
「お前ら馬鹿だな！
もう覚悟出来てんだろ？
指さなきゃ自分が死ぬんだよ！
どんなに馬鹿でもそれくらい分かんだろ!?」
立ち上がった虫眼鏡が冷静さを欠いて怒鳴り散らす。
彼の豹変ぶりに、皆の彼に対する見方が変わった。
自分たちが見下されていたことに気付き馬鹿馬鹿しくなったみたいに。
私も例外じゃない。
最初から、表面だけ礼儀正しくて心の内では小馬鹿にした態度のこいつが気に食わなかった。
自分は生き延びれると信じて疑っていない虫眼鏡は、自らカウントダウンを始めた。
「3、2、1……！」
それが己の“死”への秒読みだとも知らずに。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2018年3月10日 16時
