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「だったら従うべきじゃないの」
はじめくんが小さくため息をつき、ンダホくんを睨んだ。
空気を変えるようにシルクくんが「よし」と一言。
「人狼同士が段取りを整える前に預言者だけでも確認しときたい」
彼のその言葉に心臓がどくん、と跳ねた。 “預言者”……今の私には最も恐るべき存在。
「何で?」
そらは臆せず尋ねる。
「預言者は夜に1人選んで、そいつが人狼かそうじゃないかを確認出来る。 村人側にとっては重要な役職だから。 投票で偶発的に吊るわけにはいかない」
「あー、だから予めカミングアウトしとくんだ」
そらが納得したように呟く。
「人狼に狙われない?」
「用心棒が護ればいい」
理沙さんの言葉にシルクくんが即座に答える。 彼はさらに続けた。
「自称預言者が複数現れたときも誰か一人は用心棒に護られる……。 もし、俺が人狼なら護られてる可能性の高い相手は狙わない」
やっぱり相当慣れているようだ。 彼は淡々と言う。
「人狼に考える時間を与えたくない。数えるから預言者は“ゼロ”で手、挙げて」
私は自分自身を落ち着かせるように小さく息をつく。
私の役職は狐だ。 私は生き残らなくちゃならない。 死んじゃったら無意味。 それは皆そうなんだけど、狐の場合は生き残っているだけで勝ちになる。 ゲーム全体の勝利者になれる。 そのためには、まずは投票で処刑される事態を避けなくちゃいけない。
「3、2……」
果たして何人が手を挙げるだろうか。
「1……」
目を閉じ、私は真っ直ぐ手を挙げた。
「ゼロ」
私はやるべきことをやった。 預言者を騙り、少しでも生存の確率を上げるために。 それに、上手く預言者のフリが出来れば陸くんを守れるかも。 彼が投票で処刑される事態を回避出来る。
そっと目を開ける。 唯一の懸念は、陸くんが本物の預言者であることだったが、どうやら違ったみたい。 ただ、目の前では、別の種類の困った出来事が発生していた。
「嘘……」
思わず唇の隙間からこぼれた。
私の他に、はじめくん、マホトくん、ツリメくんの3人が手を挙げていたからだ。 預言者が、4人────。
「……何で? 預言者は一人じゃないの!?」
そらが戸惑ったように言う。
「俺は本物だよ!」
ツリメくんがすかさず主張する。 すると「落ち着け」とシルクくん。
「4人は流石に多いけど、3人までなら想定内だよ」
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時