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ふくよかな男子が腰に手を当て喚く。 こんなの馬鹿げてる、と小さく呟いた。
「誘拐犯の言いなりになってゲームやるとか……こんなの有り得ない」
「─────だから、さ。 建設的な会話の第一歩として、皆で自己紹介しよーよ」
そう言ったのは黒髪の男子。 やった、と私は思わず心の中で笑顔になった。 これで“彼”の名前を聞ける。
私たちは円形状に並べられた椅子に、各々適当に座った。
「俺はリクヲ。高2です」
眼鏡の男子はリクヲくんと言うそうだ。
次にその隣の、怯える様子を見せる女子が膝の上で拳をつくって口を開いた。
「河西美希です……、高校3年生です」
ぱっちりした目と綺麗な茶色の髪が、本当に女の子らしくて可愛い印象だ。
次の人は勢いよく立ち上がって、優しそうな笑顔を浮べながら名乗った。
「俺はツリメ。 みっくん、って呼んでくれてもいいよ!」
最初に、金髪だけど優しそう、と思った男子。 それだけの短い挨拶だったけれどその声音と表情に空気がほぐされた。
「マホトっす。 ワタナベマホト」
次の人はぺこりと軽く頭を下げて言う。 自己紹介を提案した黒髪の男子だった。
「……関根理沙、高3」
次の人も堂々と名乗る。 最初に、低身長だけど美人だと思った人。 美希さん?とは反対の様子で、慣れているような印象を受ける。
(もしかして、2回目だったり?)
有り得なくはない。 決して言わないだろうけれど。
そして、いよいよ“彼”の番だ。 彼は私のほぼ正面に座っていた。
(なんて名前なんだろう……)
内心ドキドキしながらじっと彼の顔を見つめる。
「堀内陸です。 “掘る”に内側の“内”に陸上の“陸”……。 こんなに人数がいるから直ぐには覚えらんないと思うけど────」
と、そこで言葉を切ってゆるく微笑む。
陸くん。 堀内陸くんって言うんだ。
ただ名前を知れたことが嬉しくて、浮かべられた笑顔が可愛くて、また火照っていく頬を両手で包み込む。
絶対に生き残らなくちゃ。 陸くんと一緒に────。
「……ンダホ、高1。 俺はこんなゲーム、くだらないと思う」
ずっとこのゲームに対して否定的な態度を示していたふくよかな男子はンダホくんというらしい。
ここまでゲームを拒否するということは、少なくとも彼は人狼じゃないのかもしれない。 いや、周囲にそういう印象を抱かせようとしているだけで本当は人狼かも。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時