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投票場には既に皆揃っていた。 エイジが神経質そうに視線を彷徨わせる。 マホトくんは、沈痛な面持ちで俯く皆を見回す。 その顔には何処か焦りが滲んでいた。
「は? 何なんだよ、この空気」
マホトくんは立ち上がり、輪の中心に立つ。
「俺は昨日、占いで人狼を見つけた。 Aが人狼だって分かった。 そう指摘した瞬間に、こいつは霊媒師を名乗り出した!」
私に人差し指を叩きつけ、周囲に訴えかける。
「自分はそれまで預言者だって言ってたのに! 皆さぁ、その事実忘れてない? なぁ!?」
「でも、他にいないし……」
リクヲくんが反論する。 するとマホトくんは、椅子に座るリクヲくんの前に屈み、小さい子をあやすみたいに言った。
「本物の霊媒師はもう死んでる」
「……うん」
同調したのは陸くんだった。 マホトくんが勢いよく彼の方を振り向く。 唯一の味方に縋るように、マホトくんは陸くんに歩み寄った。
「その可能性って大いにあると思う。 だって、預言者が人狼を見つけたのって初めてだったわけだよね? 少なくとも、それを主張したのは」
「そう、そうだよ。 俺が最初に言ったんだよ!」
「あのときAが霊媒師を名乗り出なかったら、Aに投票しよう、って……そういう空気になってたんじゃない?」
陸くんの言葉にマホトくんは大きく頷く。
「そうだよ! だから霊媒師を名乗るしかなかったんだよ!それに、預言者を撤回することで、少なくともこいつは味方に出来る!」
マホトくんはツリメくんを指してそう主張した。
重たく冷たい鼓動が速まる。 思わず陸くんを見つめた。
……陸くんも、私を殺そうとするの?
「でもお前は偽物だ!!」
ツリメくんが立ち上がってマホトくんに叫ぶ。
「あぁ!? お前うるせぇんだよ!!」
憤怒して激するマホトくんが、彼の胸ぐらを掴んでそのまま床に引き倒す。
「マホト!」
慌てて陸くんが止めに入った。 引き剥がされても尚、ツリメくんを罵り続けるマホトくん。 彼の怒鳴り声が空気を切り裂く。 エイジが声を張って被せた。
「俺もそう思う……! でもこいつが本物だっていう証拠もない! こいつとそいつ、人狼と狐かもしんない!」
勢いよくマホトくんとツリメくんを指さす。
(……切った)
ほぼ間違いなくエイジは人狼だ。 だが、マホトくんを庇い続ければ自分に火の粉が降りかかる。 だから、マホトくんを切って自分が生き残る選択をした。
「ふざけんなよ、てめぇ!!」
さらに激怒したマホトくんが今度はエイジの胸ぐらを掴む勢いだったが、それをまた陸くんが必死に押さえ留めた。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時