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「霊媒師は預言者ほど重要じゃないって思ったから。 最初から名乗り出ても、用心棒は護ってくれないって思ったし。 でも大事な役職だってことに変わりはないから……だから、嘘をついた」
「何か……一応納得出来る」
リクヲくんが言ってくれたが、言葉とは裏腹に不満そうだ。
「完全に騙されてた」
そらが言う。
「本当に“預言者”だって思ってたのに」
「ごめん、嘘なんてつきたくなかった」
そらだけでなく、その場にいる皆へ謝罪しておく。
「言ってくれても良かったのに……」
「それは無理だよ。 そらは人狼かもしれない。 だからAちゃんはそらにも正体を明かせなかった」
何故かは分からないが、ツリメくんは私が霊媒師だと信じてくれているようだ。 自分に対抗する自称預言者でなくなったから、贔屓目に見てくれているのかもしれない。 そらは悲しげな目を私に向けてきた。
「いやいやいや、おかしいだろ。 何でこいつが本物だって前提になってんだよ」
マホトくんが苛立ちながら責めるように皆を見回す。
「そうだよ……」
その声は、階下の方から聞こえてきた。 信じられなかった。 信じたくなかった。
「Aが本物だっていう保証は全然ない」
(陸くん……)
窓の外は凄く明るいのに、世界が一瞬で暗闇に包まれた。 何でそんなこと言うの? 何で私を疑うの? もう美希さんはいないのに。 彼女が霊媒師を名乗っているわけでもないのに。 私が陸くんを守ろうとした、ということは彼も分かっているはずなのに。
「でも、他にいないんだよ? 霊媒師を主張してる人は1人なんだし、本物ってことじゃない?」
リクヲくんが困ったような顔で尋ねる。
「本当にそうかな」
それでも陸くんは、私の心を抉り続けた。 彼は2階にある全員の部屋を見る。
「今朝、また1人死んでた。 もう4人も死んでるんだよ? 犠牲者の中に本物の霊媒師がいたかも……」
「4人死んだ……でもまだ8人も生きてる。 その中に霊媒師がいる可能性は高い。 そんな状況で霊媒師を騙るのは、かなりリスクが高いはずだよ」
と、ツリメくん。
「その賭けをした、んじゃない?」
陸くんが何でここまで私を疑うのかが分からない。 本当に分からない。 彼は私とは目を合わせず、真っ直ぐツリメくんを見る。
「預言者に“人狼だった”って言われてるわけだし。 このままだと吊られると思って、苦し紛れに霊媒師を騙っただけかも」
「違うよ……?」
反論した私の声は弱々しく、今にも消えてしまいそうだ。
「皆の役に立ちたいって思ったから。 だから名乗り出たんだよ」
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時