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マホトくんは楽しそうに笑う。 勝ちを確信している。
「違う」
深呼吸……は、しちゃ駄目だ。 嘘をついているっぽい。 無理矢理落ち着こうとしているっぽい。 逆だ。 もっと狼狽えよう。
「何でそんなこと言うの……?」
自然と喉の奥が詰まり、胸の中に熱い塊が広がってくる。 私は驚いている。 戸惑っている。 何故なら、人狼ではないから。 だけど預言者でもない。 なら、何?
腹を括り、先のことも考えないで、私は次の嘘を口にした。
「私は、霊媒師だよ」
皆の息を飲む気配が伝わってきた。
すぐに後悔した。 この中には本物の霊媒師がいるはずだ。 どちらが偽者っぽいかと言われたら勿論、自称預言者に黒出しされた方に決まっている。
「A、霊媒師なの?」
そらがまじまじと私を見つめ問うてくる。私は頷く他ない。
「は……っ? そんなわけないし」
マホトくんは鼻で笑い飛ばそうとするが、内心戸惑っているようだ。
「さすがに嘘っぽいよ……」
リクヲくんも同調する。
「誰かいないの? 自分が本物の霊媒師だ、って人」
理沙さんが皆を見回す。 それぞれの窺うような視線が交錯した。 私も順に視線を移していく。 私が霊媒師か聞いたそらはまず違う。 誰かいないか聞いた理沙さんも。 自称預言者のツリメくんやマホトくんも。 残るは陸くんとエイジだけ。
たった2人。 ぎょっとした。 もし陸くんだったらどうしよう。 その可能性を全然考慮していなかった。 彼と本物の座を争うことになったら大変だ。 彼には生き残って欲しいが、今さら撤回なんてできない。
沈黙の時間が続いた。
「本当に誰もいないの?」
理沙さんが怖々と尋ねる。 やはり誰も手を挙げない。 信じられなかった。 本物があえて黙っているメリットはない。 つまり、既に死んでいるということだ。 私は何て幸運なのだろう。
「そんなわけない……。 俺はAを占って、結果は人狼だった! 霊媒師なわけねぇよ!」
マホトくんが必死に訴えかける。 私が否定するより先にツリメくんが割った。
「違うよ!! マホトさんは偽物」
「だったら、昨日までの発言は何だったわけ?」
マホトくんは急に声のトーンを落とし、人を小馬鹿にするような笑みを浮かべ、私の方を見てきた。
「何で預言者を騙ったりした? その嘘のせいで本物の預言者が吊られたかもしれない。 本物である、俺が!」
彼ら畳み掛けながら淡々と階段を登り、私の正面で止まった。
「それは……」
必死で頭を働かせた。 なるようになれ、と割り切り、思いつくままに口にした。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時