【YouTuber】人狼ゲーム 4

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マホトは扉の右側に張りつく。 そこからエイジを押すような仕草をしてみせた。

「そっち行って」

エイジは指示に従い、マホトに倣って左側に張りつく。 マホトは深く息を吸い込み、吐き出すと、ドアノブを掴み、思い切り扉を開けた。

ガタッ！ とシルクは慌てて椅子から立ち上がった。 逃げるように窓際まで後退する。

扉を開けたものの、マホトはその場に留まったまま動かない。 どういうつもりだろう。 困惑しながらエイジはマホトを見やる。

「おい、人狼かよ……人狼かよ!?」

部屋の中から、シルクの引きつったような声が聞こえてくる。 シルクは見えない敵に怯えていた。 これまでの2日間、最もどっしり構えていたはずだが、いざ襲撃対象になったことが分かると、一気に落ち着きを失ってしまったようだ。

「誰か、助けて！ 人狼が……人狼が来た！ ドアの前にいる！ 誰か今すぐ来て！」

当然のことながら、周囲では物音一つしない。 シルクの金切り声が止む。 彼は「くそっ」と呟き、椅子を持ち上げて掲げた。 臨戦態勢をとる。

「来るな！ お前らはまだ入ってきてない……まだ違う部屋を選べる！ 俺は抵抗するからな……！ 今も椅子を持ってる。 これでお前らを返り討ちにしてやる！ 来るなら来い!!」

シルクの金切り声が再び響く。 さすがに痺れを切らしたエイジが、マホトの方へ顔を向けた。 声を発さず「おい」と呼び掛ける。 早くやれよ、と伝えると、マホトはうんざりした様子でため息をついた。

ナイフで自分を指し示し、続いて床、部屋の中を指してみせると、素早く振り下ろす仕草をした。 ここで待ち伏せ、シルクが出てきたところを殺すつもりだ、と言いたいらしい。

完全にひびってる、出てくるわけない、とエイジが怒鳴ろうとしたところ、ガタン！ と中から大きな音が響いてきた。 シルクが椅子を落としたのだろう。

ついでに腰も抜かしていた。 扉の枠の中に一瞬だけ見えたサバイバルナイフに、すっかり戦いていた。 人狼たちは本気で自分を殺すつもりだ。 あの大きなナイフが自分の胸を貫く、残酷な想像が脳裏を過ぎる。

「死にたくない……!!」

シルクは弾かれたように動いた。

廊下で待ち伏せる2人の耳に、硬い金属音と、摩擦音が聞こえてきた。

「何……？」

エイジが呟く。 マホトは立ち上がると、部屋の中に飛び込んだ。 エイジも後に続く。 中は無人だった。 奥の窓が開いている。

「窓だ」

マホトが窓枠に飛びつき、身を乗り出した。 左右へ視線を振り向ける。 エイジは一歩下がった位置から外を見た。

「いた！」



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