2-14 ページ36
.
─Wolf Side─
「Aって、確かに変わってるね」
深夜の暗い厨房で、エイジと落ち合うなり、マホトは言った。 口元には薄らと困惑したような笑みが浮かんでいる。
美希への投票を求めてきた件だ。 理由は言わずもがな、恋愛感情に絡んだもの。 陸と美希の関係を疑い、嫉妬していたようだ。
エイジは、いかにもAっぽいな、と思い、呆れる。
「気をつけた方がいいよ。 本当に頭のネジがぶっ飛んでるから、急に裏切るかもしんない」
「はは、大丈夫だろ。 どっちみち預言者を名乗ってる者同士ですぐ潰し合いになるって」
マホトはナイフを片手に笑った。
エイジは時計を見上げ、それから周囲を見回す。 自分とマホト以外に人の気配はない。
「……今夜も出て来ねぇのかよ」
3人目の人狼は、まだ姿を見せない。
「まぁさすがに、2日連続で寝坊したなんてことはないだろうしねー」
苛立つエイジと異なり、マホトは暢気な調子だった。 エイジが振り向き、マホトに歩み寄って尋ねる。
「なぁ。 河西美希が人狼だった、なんてことあると思う?」
「いや、それはないと思う。 もしあいつが“3人目”だったら、昨日寝坊なんかしねぇだろ」
「じゃあ誰だよ!?」
拳を調理台の上に振り下ろしたくなる。
「わかんねぇけど……とりあえず、襲撃行っちゃう?」
マホトはナイフを掲げて言った。
「誰のとこ行くんだよ。 ツリメかA?」
エイジとしては、まずは本物の預言者を消しておきたい。 占われたくないのは人狼も同じである。 だから目立ちたくないのだ。 しかし、マホトは「いや」と首を横に振る。
「方針は昨日と同じ。 手強そうな奴の部屋行って、そいつが3人目の人狼だったらラッキー。 そうじゃないんだったら、殺す」
*
廊下を突き進む。 先を歩くマホトの後をエイジがついて歩いていた。 さすがに今日は自分でやる気になっているようだ。
「……」
心做しか緊張気味に立ち止まったのは、シルクの部屋の扉の前だった。
エイジは一応、他の襲撃先の候補についても検討してみる。 リクヲや理沙は基本的に怖がっているだけ。 後者に至ってはマホトを信じきっている。
いかにもお人好しといった印象の陸。 特に脅威とは思えない。 下手に襲撃しようものなら、Aが半狂乱になるかもしれない。 それが吉と出るか凶と出るかは今のところ判断がつかない。
そらはどうだろう。 頭は良さそうだが、度胸はゼロだ。 狙うとしても次かその次で良い。
他は────いない。 もう、たったこれだけだ。 今夜はやはり、シルクが妥当だろう。
.
316人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時