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「まあ、そらが無理でも、あと2票は何とかなるかも」
窓際のマホトくんが言う。 私は聞き返した。
「誰と誰?」
「俺らが占って“村人側”って宣言した相手」
つまり、理沙さんと陸くんだ。
「何で、2人がツリメくんに入れてくれるの?」
「入れてくれるかは分かんねーよ? ただ、説得してみる価値はあるかな、って。 自分のことを“村人側”って言ってくれた相手のことは、信じたくなんじゃない?」
陸くんが私のことを信じてくれる────そうなったら良い、けれど、そんなに上手くいくだろうか。 やや楽観的過ぎる気がする。
示し合わせて投票しよう、と持ち掛ければ逆に怪しまれるかもしれない。
でも、陸くんや理沙さんだって命懸けなのだ。 処刑を避けるためなら、出来ることは何だってやろう、と考えてくれるかもしれない。
「ねぇ。 言うだけ言ってみてよ、陸に。 俺は理沙さんと話すからさ」
窓際から離れ、ベッドの柵を掴んだマホトくん。 近くで目が合っていても、何を考えているのか分からない。
「────マホトくんは、何で理沙さんを占ったの?」
ふと気になって尋ねた。 彼は一瞬視線を彷徨わせた。
「……美人、だったから?」
彼は答え、それから続ける。
「Aだってそうでしょ?」
見透かすような笑みを含んだ眼差しを向けてきた。 図星を突かれ、心臓が跳ねた。 頬が熱を帯び始める。 私は彼みたいに開けっぴろげにはなれない。 たぶん、あと4周くらい人生を繰り返したとしても無理。
「じゃ、よろしく」
マホトくんは意味ありげな笑みを残し、去って行った。
*
顔色の悪いそらは自室に戻り、私は陸くんを探して建物内を歩き回っていた。 屋内の何処にもいなかった。
(屋上かな?)
そう思い至り、外へと通ずる扉を開け、コンクリートの階段を登っていく。
────やっと見つけた。 陸くんは屋上の端からどこか遠くを眺めていた。
建物の周りには鬱蒼とした森が広がっている。 その一部が途切れ、舗装された道が伸びているが、見える範囲に民家や車の通りはない。 陽が射しているし緑も豊かなのに、何故か凄く寒々しい印象を受けた。
陸くんに視線を戻す。 ……彼と話したい。 声が聞きたい。 だけど、どんなふうに切り出せばいいのか分からない。
迷っているうちに、彼が私に気づいて、自分から声をかけてくれた。
「A、ちゃん……だよね?」
覚えててくれた。 私は喜びをひた隠しにし、頷く。
心臓が激しく打っている。 ゲームで疑われたとき以上に。
「ちょうど良かった。話したい、と思ってて────」
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時