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マホトくんは先ほどまでそらが座っていた椅子に座り、私たちを交互に見ながら口を開いた。
「じゃあ、手短に言うけど────次の投票、ツリメに入れて欲しい。 あいつは、自分が本物の預言者だ、はじめは狐だった、って主張して俺とAを殺そうとしてる」
「そうだけど……」
「ツリメは……俺もAも人狼だ、って言ってる。 でも俺に言わせれば本物は俺で、あいつかA、どっちかが人狼。 どっちかが、狐」
狐、という言葉を聞き、どきりとした。
「それは────」
「分かるよ。 Aからしたら逆だよな?」
私は小さく頷く。 とりあえずは反論しないで、彼の真意を探ろうと努めた。
「だからさ。 このまま投票を場の流れに任せるっていうのは、違うんじゃない?」
「……」
マホトくん、本当は何を考えてるの……?
こういう陰謀めいた話を持ち掛けてくるということは、彼は人狼なのだろうか。 ツリメくんが本物っぽいから消えて欲しいと思ってるの?
だが、本物の預言者だからといって策を弄さないとは限らない。 吊られたくないから、こういうこともするかもしれない。
「……2票で足りるの?」
私はマホトくんに尋ねた。
「私とマホトくんがツリメくんに入れて、それで足りる? 私かマホトくんに3票以上入るかもしれない」
彼は腕を組んで考えるような素振りを見せる。
「そらは?」
マホトくんが唐突に、彼に水を向ける。 今になって初めて気づいたが、そらは強い驚きと嫌悪感が入り混じった目で私とマホトくんを見比べていた。
「わかんない……足りるとか足りないとか。 人を殺す話をしてるって、二人ともわかってんの?」
「殺す話じゃないよ。 殺されないための話だよ」
私は即答していた。 しまった、と慌てて口を噤む。 今のは“冷たい人間”という印象を与えてしまったかもしれない。
マホトくんは立ち上がって窓の方へ歩いていく。
私は先ほどの発言の穴を埋めるように続けて言った。
「そらは疑われてないからそういうこと言えるんだよ。 私と、マホトくん、ツリメくんの中に必ず偽物がいる。 それも2人も」
私を見つめる彼の目がゆらゆらと揺れていた。 恐らくは彼の心情も。
「普通なら、次に死ぬのは自分かもって思うよ……」
今度は私が目を伏せてみせた。 そらは「……ごめん」と消え入りそうな声で謝る。
「そうかも。 てか、そうだよね。 ……でも、それでも────」
そらは眉を顰めて俯く。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時