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「確かに、ちょっとやりそうかも」
リクヲくんが同調した。 怒ったような困ったような表情を浮かべている。
「預言者に投票するべきじゃない、って強調してたし。 投票されないために嘘つくとか、ちょっとそういうの、やりそう」
説得力があった。 昨日の様子を見た限り、確かにはじめくんならやりかねないと思ってしまう。
「そんなこと……」
ツリメくんは必死に反論を組み立てようとするが、言葉が出てこないみたいだ。 たぶん彼自身も少し納得してしまったのだと思う。
場の空気は“ツリメくんが本物”という方向へ傾きかけていたが、それが少しだけ揺り戻された気がする。
私とマホトくんの命が、理沙さんとリクヲくんに救われた形だ。
*
軽く朝食をとってから自室に戻ると、そらが訪ねてきた。 朝の柔らかい光に包まれた空間で、私はベッドに座り、彼は向かいの椅子に腰掛けている。
「怖くてしょうがないよ」
そらが俯く。 彼の髪が揺れる。
ここに来てゲームが始まり、まだ1日も経っていないが、既にもう2人も犠牲者が出ている。 今まで普通に生きてきた人ならば、精神がすり減って気が滅入るのも無理ない。
「……そうだね」
「今夜もまた、」
そらが何か言いかけたとき、ノックの音が響いてきた。 私たちはほぼ同時に扉の方を向いた。 返事を待たずに入ってきたのはマホトくんだった。
そらの姿を認め、彼はちょっと迷うように動きを止める。
「あ、そらも居たんだ」
「邪魔?」
そらが彼を見て尋ねる。 マホトくんは、ちらりと私を一瞥して頷いた。
「そうだね。 あ、って言っても勘違いすんなよ。 お互い預言者を名乗ってる者同士で、ちょっと相談したいだけだから」
“邪魔”と言われたことに気を悪くしたのか、少し不機嫌になったそらが、素早く椅子から立ち上がった。
「あっそ。 じゃあ出てる」
「ま、待って!」
私は慌ててそらの腕を掴み、彼を引き止める。
「私とマホトくんが人狼なんじゃないか、って疑われてるときに2人で話したくない」
本心から出た言葉だ。 いったいどういうつもりだろう。 マホトくんの狙いは何だろう。
「そう?」
マホトくんは小首を傾げてみせた。
「気にし過ぎだと思うけど……。 まぁAがそう言うなら、そらに居てもらってもいいよ」
ちら、とそらを見ると「俺はどっちでもいいよ」と言ってくれた。
「なら、一緒がいい」
私はそらを引っ張る。 彼は私の隣に腰を下ろした。 ベッドのマットレスが少しだけ沈む。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時