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「その考えでいくなら一番手強そうな相手を選びたい。 出来れば人狼であって欲しい。 そうじゃないなら、真っ先に死んで欲しい相手」
マホトの冷たい声が反響する。
「誰?」
エイジの問い掛けに、彼は口元を歪めて笑う────。
*
薄暗い廊下に、二つの影。 足音を忍ばせ、2人は廊下を進んでいく。
「預言者は避けるべきじゃねーのかよ」
マホトの後をついて行きながらエイジが声を落として言った。
「自称預言者は4人。 でも用心棒が護れるのは1人だけ。 ……それに、吊られたあいつ、本当に用心棒っぽかったなーって」
淡々とした調子でマホトは答える。 2人同時に立ち止まった。 預言者を名乗る、はじめの部屋の前だった。
数時間前の記憶が否応なく蘇る。 場の空気を巧みに誘導し、ンダホが吊られるよう仕向けていた。
「どう?」
マホトが窺うようにエイジに顔を向ける。
「……うん、いいと思う。 味方だったら心強いし、そうじゃないならぶっ殺したい」
「じゃ、どうぞ」
エイジが答えるなり、マホトはサバイバルナイフを差し出して後退した。 エイジは困惑する。
「……何でだよ」
「いいじゃん、どうせこの先確実に手を汚すことになる」
「だったら尚さらお前がやればいいだろ」
「先に見本見せてよ。 早くしねーと時間なくなるよ」
「……」
エイジは舌打ちをしてナイフをふんだくった。 ふざけんな、と言おうとしたが気が変わった。 確かにマホトの言う通り、いずれは自らの手を汚さなければならない。 それなら早めに、隣に味方がいるうちに経験しておいた方がいいだろう。
そうでなくても、胸の中で渦巻く感情を何かにぶつけたい気分だった。
「明日はお前だから」
そう言って、顎で「開けろ」と促す。 マホトはこれには素直に応じ、そっとドアノブを回した。 エイジはナイフを構える。
既に多くの死を目の当たりにしている。 自分のために、他人の処刑を誘導したこともあった。 今さら躊躇いはない。
ドアは勢いよく開いた。 素早く中の様子を確かめた。 はじめはベッドに横になっていたが、2人の登場に慌てて飛び起きた。 はじめの顔に驚きの表情が浮かんだ。 それがみるみる怒りへと変化していく。
「お前ら……! 何で預言者って言ってんのに狙う!?」
叫びながら立ち上がり、後退するはじめ。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時