【YouTuber】人狼ゲーム 4

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「何これ!?」

皆が混乱を顕にする。 私も最初は、奇妙で得体の知れない生き物がまとわりついているような不気味さを覚えたものだが、今や随分と慣れ、身体の一部となりつつあった。

処刑が決まったとき、ルールに違反したとき、この首輪は容赦なく私たちの命を奪う。

【毎晩、この部屋に集まって下さい。
夜8時までに人狼と思われる人を1人、投票で決めて下さい。

最多票を集めた者は処刑されます。

該当者が複数いた場合は、それ以外の者による決選投票で決めて下さい】

画面は止まらない。 私たちの混乱なんてお構い無しだ。

円形状に12脚椅子が並んだこの部屋は、その“投票”を行うための部屋。 2階の天井まで吹き抜けになっており、奥の食堂にも繋がっていた。

見上げたところにすぐに目に付く、壁掛けのアナログ時計は、現在午後4時過ぎを指していた。

【決められなかった場合、全員処刑されます】

全員が首輪の存在を意識したと思う。 締まっていないのに少し息苦しくなった。

【皆さんは、夜10時から朝6時までは自分の部屋にいてください。
ただし、人狼は夜12時から2時までの間に部屋を出て、誰か村人を一人殺して下さい】

「……何か、“殺す”とか書いてあるんだけど」

苦笑を浮かべたさっきの女子生徒が、近くにいたもう一人の女子生徒に言う。 彼女は答えなかったが、怯えきっているのがその表情から見てとれた。

【人狼側が全滅した場合、村人側の勝利。

村人側の人数が人狼側の人数と同数になった場合、人狼側の勝利。

勝利した側には1億円をお支払いします】

「勝利した側には1億……え、1億!?」

読み上げていた黒髪の男子はその途中で驚きを顕にする。 他の面々の間にもざわめきが広がった。

「どういうこと？」

「人狼と村人の数が同じになると人狼の勝ちになる……その時点で終わり、っていうルール」

誰かと誰かがそんな会話を交わしていた。 ちら、と何気なく“彼”を見やる。 目が合いそうになり、慌てて顔を伏せた。

「そんなん読んでる場合じゃないって。 今、何が起きてんのか。 それを解明しないと！」

ふくよかな男子が詰め寄った。 その額にはわずかに汗が滲んでいる。 ただならぬ状況に圧倒されているようだ。

「その為に読んでるんでしょ」

またしても誰かに指摘される。 何となく、そのふくよかな男子は孤立しそうな雰囲気に思えた。

こうした、空気感を察知する能力が、前回のゲームを通して研ぎ澄まされたような気がする。



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