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「じゃあ……背の高い茶髪の奴と、金髪の奴と、それからAの中に3人目の人狼がいるってことか?」
「絶対とは言わねーよ?」
エイジの問いにマホトは答えた。
「その中で寝坊しそうな奴っていったら……Aくらいしかいない」
エイジは静かに言った。 昼間に話したときに見た、夢見るような表情が思い浮かんだ。
「何でそう思うの?」
マホトは指先でナイフの刃をなぞりながら訊く。
「前回のゲームで一緒だった」
その答えに、マホトは少しだけ意外そうな表情を浮かべた。 もたれかかっていた身体を起こす。
「お前も2回目なんだ?」
「……俺もAも村人だった。 生き残ったのは二人だけ」
マホトは「俺も村人だったよ」と告げた。
エイジは何かを思い出すようにしながら、天板を見つめて続ける。
「前回一緒にやった感想だけど……Aは変わってるっていうか、何考えてるかわかんない。 天然っぽいっていうか。 まぁ、寝過ごしたとしても不思議じゃない」
「俺は前回、リクヲと……堀内陸と一緒だった」
マホトはナイフをくるくると弄びながら言う。 エイジは彼を見やる。
「その中で今回一番人狼っぽい奴は?」
「んー、どうだろ。 ただ……2回目の人が必ず人狼、みたいなそういうルールはなさそう。 少なくとも今回は。 だってそうなら、俺、リクヲ、陸、お前、A? ……ほら、5人もいることになる」
手を替え品を替えといった感じだ。 エイジは心底不愉快でたまらなかった。 闇に静寂が落ちる。
マホトはゆっくりと歩きながら、壁の隅に取り付けられた、コウモリのような監視カメラを見上げた。 赤いランプが点滅している。
「だーれが見てんのやら……」
ナイフを向けて睨みつける。 誘拐犯たちは今も、この瞬間を見ながら、エイジらの会話に耳をそばだてている。 恐らくは彼らの
「くそっ!!」
エイジが、バン!と拳を天板に叩きつけた。
「怒ってても仕方ねーだろ。 もっと現実的になって、勝つ為の方策を考えねぇと」
「分かってる! ……とりあえず今夜は、Aの部屋行ってみるか?」
エイジは赤髪を揺らして捲し立てる。
「もし仲間なら起こして別の相手殺しに行けばいいし、そうじゃないならぶっ殺せばいい!」
殺す、なんて言葉がすらりと出てきたことに自分でも驚く。 どれほど嫌悪していても、ゲームに染まっていることを自覚させられる。
「いいね……、いいねそれ」
マホトは同調し、冷笑を浮かべた。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時