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「せーの!!!」
誰かの掛け声で、全員が腕を上げた。 ほぼ全員がンダホくんを指さしていた。 彼自身ははじめくんに投票している。 彼は震えながらかぶりを振った。
「認めない……、こんなの認めない!!」
ンダホくんがそう叫んだ直後、首輪の作動する音がその場に響いた。 間を空けずにモーター音が鳴る。 彼は両手を首へやった。 首輪が締まり始めたのだ。
「っぅ、ぐ……ぁああぁ!」
ンダホくんは苦しげな声を上げる。 彼の目が大きく見開かれていく。 身を折り、よろめき、助けを求めるように手を前に伸ばしながら数歩進む。
首輪は絞まるだけでなく、喉までも抉っていった。 ブシュッと噴き出した血が辺りに翻る。
どこからか悲鳴と驚きの声が上がった。 ンダホくんの先にいたリクヲくんと美希さんが慌てて立ち上がった。 2人とも青ざめている。 恐怖心と嫌悪感に支配された表情だ。
リクヲくんが座っていた椅子に、ンダホくんが突っ込むように倒れ込んだ。 椅子は床の上を滑り、派手な音を立ててひっくり返る。
誰もが動揺し、平静を失っていた。 誰かの悲鳴が大きくなる。 何人かが立ち上がり、何人かは耳を塞いでいた。 目を背けている人もいれば、その場に腰を抜かしている人もいた。
倒れ込んだンダホくんは地面に転がり仰向けになる。 苦しみに喘いだ表情を浮かべ、しばらく首輪にのたうち回っていた。 やがてその動きが小さく、弱々しくなっていく。 血まみれの彼は動かなくなった。
皆、ただ見ていただけなのに息が切れていた。 凍りついたように立ち尽くしている。
「本当に、死ぬんだ……」
そらが掠れた声で呟いた。 現状が徐々にリアリティを増していく。 現実感が現実に追いつき始めていた。
────その後、男子たちが協力してンダホくんを彼の部屋に運び、ベッドに寝かせると、頭まで布団を被せておいた。
10時を過ぎた頃、私は自室のベッドに横になっていた。 あと2時間もしないうちに人狼が活動を始める。
預言者も同じだ。 運が悪ければ、私は占われて死ぬ。 その場合は、たぶん首輪が締まるのだろうと思う。
勿論、怖くないと言ったら嘘になる。 でも、何となく大丈夫な気がしていた。 だって、まだこんなに人数が多い。 私が占われる確率は決して高くない。
(大丈夫……)
私は胸の前で両手を組んだ。
ちゃんと明日が訪れて、陸くんに会えるはず─────。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時