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彼女は次第に緊張が解けてきたのか、時折陸くんに笑顔を向けていた。 あまり陸くんと話さないで欲しい。 話すにしても、ちょっと距離が近すぎるような気がする。
今すぐ走っていって、2人の間に鉄筋コンクリートの壁を作りたくなった。 せめてロープくらいは張りたい。 私は一呼吸し、その衝動を何とか抑え込んだ。
*
シルクくん、はじめくん、そら、私で施設内の探索をしていた。 厨房兼食堂のような部屋には簡易的な食料が充実していて、餓死する心配はない。
それは経験談でもあり、今回も同じだった。
犯人はあくまで、ゲームで私たちを弄びたいのだ。
私は壁にもたれかかって、物色している3人を眺めた。
……陸くんと美希さんが仲良く話している先ほどの光景がふと頭を過り、少し気持ちが沈んだ。
「……」
窓の外に小さな黒い看板が見える。
【警告。境界線を越えると死亡します】
と書かれている。 前回のゲームでは外に出ることすらルール違反だったのに。
試しに外へ出てみるが首輪は反応しない。 非常に狭い範囲だが境界線までは、自由に外を歩き回れるらしい。
最初に目覚めた部屋は“投票場”と呼ぶことになり、そこから続く階段を上るといくつも並んだ扉があった。 ここは何かの研修施設なのかもしれなかった。
「名前書いてある……」
ふとシルクくんが呟いた。
鉄製の扉には、目の高さにそれぞれの名前が書かれたプレートが貼ってある。
「じゃあ……自分の部屋確認したら下に集合で」
はじめくんのその一言に解散となり、各々が自室へと入っていく。
「またあとで」
そらの言葉に「うん」と返してドアノブを回した時、隣の部屋から「ねぇ」と声をかけられた。
エイジだった。 彼とは前回のゲームで一緒だった。 どちらも村人で、ただ2人の生き残りだ。
自身の部屋から顔を覗かせた彼は、顎をクイと動かして「入れ」と促してくる。
私は素早く周囲を窺った。 幸い、人影は見えない。
エイジが今回どんなカードに当たったのか、という点には興味があった。 いずれ話をしなくちゃいけないとも思っていた。 確かに今は良い機会だ。
誰もいないことを確認すると、彼の部屋へと入ったのだった。
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小桜ふわ(プロフ) - 白猫とみせかけてアルビノの黒猫さん» 叫んじゃってください!笑笑 そういったリアクションを頂けるとめっちゃ嬉しいです!d('∀'*) 本当ですか!やったー.*・゚(*º∀º*).゚・*. 今後ともご覧頂けると嬉しいです! ありがとうございます! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 43213200ba (このIDを非表示/違反報告)
白猫とみせかけてアルビノの黒猫(プロフ) - 一目惚れ相手が陸君で、キッッッッッッッッターーーー!!って叫びそうになりました。笑笑そろそろふわさんのファンになりそうです、 (2019年5月1日 5時) (レス) id: 18a6a661ff (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - (名前)空々さん» ありがとうございますです!! 推薦は本当にただの紛れなんじゃないかと思うんですけど良かったです…!!(*>▽<*) (名前)空々さんも受験生なのですか?もしそうでしたら私が言うのも何ですが、合格まで一緒に頑張りましょうー!! 応援感謝します!!頑張ります!! (2017年12月19日 0時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)空々(プロフ) - おめでとうございます!!推薦うらやまです。更新頑張ってください! (2017年12月18日 23時) (レス) id: aab0f67378 (このIDを非表示/違反報告)
小桜ふわ(プロフ) - まちゅさん» ありがとうございますすすすす!!!!恐縮です…! まちゅさんのご期待に添えられるようこれからも頑張ります!応援感謝します.*・゚(*º∀º*).゚・*. ありがとうございますー!! (2017年12月18日 22時) (レス) id: e6883eaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 12時