#03 ページ3
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─Side E─
騒がしい休み時間の教室。
そらはAの前の 誰かの席に座り
後ろを向いて彼女と向かい合っていた。
時折、二人の会話の声が聞こえる。
「それは……やっぱりあれでしょ！」
「あー、あれか！」
“それ”だの“あれ”だの、
(あほ同士の会話かよ……)
嫉妬混じりの気持ちで机に突っ伏した。
楽しそうな二人から
顔を背けるようにして寝た振りを続ける。
(何で休みなんだよ、そらの彼女)
心の中で文句を言いながら
この場にいない第三者に八つ当たりした。
「……」
─────近くなるな、これ以上。
二人の笑い声にぎゅっと強く目を瞑る。
いっそAみたいに、
“ただ想うだけでいい”
と、割り切ることが出来たなら
どんなに良いか……。
傷つけてまで、対立してまで、
この関係を壊してまで、
手に入れたくないと思っていた。
─────最初は。
(……全然そんなことなかったのに)
日を追うごとに想いは増して、
笑顔を見れば独り占めしたくなる。
それほどまでに、好きになってた。
(俺、何か女々しい……)
自分にため息をついて、やっぱり、と考える。
やっぱり─────
もうこれ以上は閉じ込められそうにない。
何年経っても俺とAは
ずっとこのままなんだろうか……
って、そんなふうに思ったら。
例え関係が壊れようと、
二の足を踏んでる自分が嫌になった。
だから伝えたい。
直ぐにでも─────。
「……お似合いだと思うよ、俺は」
唐突に、意識が現実に戻り
そらの声が耳に届いた。
内容があまりに心の中の声と噛み合っていて
思わずパチッと目を開けてしまった。
(びびった……)
「え、何がお似合い？」
彼女の声に そらは楽しげに笑う。
「エイちゃんとA」
「えぇっ!?」
Aのそんな声に若干傷つきつつ
(マジかよ……)
と そらの言葉に衝撃を受ける。
おまえが、それを言うか……。
「付き合っちゃえば!?」
「……」
黙り込んだ彼女の表情が目に浮かぶ。
そらはAの気持ちを知らないから
何の気なしに言ったつもりだろうけど
俺には、俺にだけは、分かる……。
その言葉が
彼女をどれほど傷つけるか─────。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2017年11月25日 1時
