【YouTuber】人狼ゲーム 1 (ページ25)

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「カンタ……」

少し遠慮がちにエイジくんが彼を呼んだ。

「何で俺たちに声掛けた？
……俺たちが人狼だったらどうすんの？」

カンタさんが視線をわずかに落とした。

「それは分かってるんだけど何か……耐えられなくて」

────このゲームは、村人側は皆孤独だ。

自分以外誰も信用出来ないのだから。

だからカンタさんの気持ちはよく分かった。

それに、

死にたくない思いもやっぱり同じなのだ。

「……人狼はお互いに
誰が人狼なのか知ってたんだよね？」

私は確かめるような口調で言った。

「カードに書いてある、ってテレビで流れてたね」

と、カンタさんが頷いてくれた。

「だったら、
人狼は人狼同士指すことはないんじゃないかな……？」

「確かに、そうかも。
少なくともゲームの序盤はしないと思う」

最初は情報が少ないから自然と票が割れる。

そんな状況で下手にお互いを指したりしたら

相手が偶発的に処刑されるかもしれない、と

カンタさんは言う。

「なら1回目に誰が誰を指したか、って
手掛かりになったりする？」

「大いになるよ！」

ノートに何やら書き込んでいたカンタさんが

手を止め少し嬉しそうに顔を上げた。

「ご、ごめん……あんまり覚えてない」

期待の込もった眼差しに尻込みしてしまう。

「俺もうろ覚え……」

私の発言が中途半端な展開を生んでしまい

非常に申し訳なくなった。

「カンタ」とエイジくんが呼ぶ。

「俺たちが勝ったとして、
本当に犯人は解放してくれるかな……」

「……」

「1億円とかって、子供じゃあるまいし」

エイジくんの言葉に

カンタさんは口の端を結び、俯いた。

*

マホトくんとともに屋上に出た。

厨房にあったコップに

洗面所で水をくんで来ると

マホトくんはノートをサインペンで黒く塗り

地面に置いた。

彼がポケットから小銭を取り出す。

五円玉を手に取ると水につけて

黒く塗られたノートのページに透かした。

「やっぱ無理かな……、狼煙なんて」

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