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じっと彼の方を見据えていると
「何だよ」と
不機嫌そうにトミーくんが言った。
「……夜中、
ポッキーくんの部屋から銃声が聞こえた。
そのとき、安心しちゃったんだ。
私は助かったんだ、って。……最低だよね」
目を伏せて言う。
「だから何だよ」
トミーくんの声に視線を上げた。
そこにいる人たちを見回して言う。
「人狼とか、村人とか……
そんな犯人の狂った世界で
踊らされてる自分が恥ずかしい！」
「────俺たちは、
自分が踊らされてるって分かっててやってんだよ！」
エイジくんの激昴した声が響く。
「お前、気失って直接殺してないからって
あんま調子乗ってんじゃねぇぞ」
続いてトミーくんの低い声も。
……何も言い返せなかった。
こんなゲーム間違ってる、って分かってるのに
そうしないと死ぬという現実。
抗いたくとも出来ない。 逃げられない。
つくづく自分の無力さを痛感する。
ベッドの方に歩み寄ると
ポッキーくんの腕を引っ張って床に落とした。
さらに彼を引っ張り、
部屋の外へ出そうと試みるが
予想以上に重たくて全然敵わない。
ポッキーくんが太っているわけではない。
むしろ痩せている方だ。
……何かの本で読んだ気がする。
死ぬと重くなる、と。
実際には質量は変わらないが
死んでしまうとただの置物状態になるので、
重たく感じるようになる。
生きていれば、
変な持ち方をされて窮屈な思いしないように、
自然と自分で楽な体制をとるのだが
それが出来ないから……。
見兼ねたトミーくんが手伝ってくれ、
さらにカンタさんとエイジくんも加わり
四人で彼を持ち上げ窓の方へ運んだ。
「せーの」
トミーくんの合図で、
ポッキーくんを窓の外へ落とす。
私としては、
こんな地獄のような建物の中ではなく
せめて外で眠ってほしいという思いから
そうしたのだった。
他の三人は、違うかもしれないけれど。
*
自室に戻ると
ベッドの上で毛布を丁寧に畳んだ。
それを抱え、マホトくんの部屋を訪ねる。
寝ていなかったのか、今起きたのか、
直ぐに扉が開くとそこから彼が顔を覗かせた。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年3月19日 9時
