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「守るって何だよ!?」
私の隣に座っていたそらが弾かれたように立った。
この二人は幼なじみと言っていたっけ……。
だけど何だか、あまり仲が良くないのかな？
そらの横顔を見上げるとわずかな怒りが覗けた。
エイジくんは傷ついたような表情で視線を逸らす。
「お前が、どうやって俺のこと守んの!?」
そらは責めるような口調で言った。
エイジくんは構うことなく
再び顔を上げると皆を見回した。
「俺は今夜、もう一人の人狼に殺されるけど……
そらのこと、どうかよろしく────」
深々と頭を下げたエイジくん。
これが演技だとはどうしても思えない。
「やめろよ……」
離れていたトミーくんが戻ってきて
エイジくんに歩み寄るが
直ぐにマホトくんが止めた。
「殺したいなら殺せよ！
……でもお前、明日皆に殺されるからな」
エイジくんがトミーくんに叫んだ。
「もうやめてくれよ！」
今度は激したカンタさんが立ち上がるが
それもすかさずマホトくんが制する。
「じゃあ……。
じゃあ何でエイジが占いの方法知ってんだよ。
それが説明つかねぇんだよ」
と、マホトくんが二人に言う。
カンタさんが言葉を噛み殺すようにして頭を抱えた。
「もう……違う、違うんだよ！俺じゃない！」
カンタさんが叫んだ。
彼だって、嘘をついているようには見えない……。
見えない、けれど……。
「────トミーは何で名乗り出たの？」
マホトくんが静かに問うた。
「皆があいつの言うこと信じて、
明日も明後日もあいつの言う通り投票してったら
俺たちは全滅する」
トミーくんはエイジくんを指して答える。
「……」
場に、殺伐とした沈黙が訪れた。
*
8時30分にさしかかろうとしている。
「……せーの」
マホトくんが合図した。
皆が腕を上げる。
カンタさんに4票────マホトくん、そら、理沙さん、エイジくんから。
エイジくんに2票────カンタさん、トミーくんから。
私は……
やっぱり二人のうちどちらも指せなくて
自分自身に人差し指を向けた。
「……」
カンタさんが無言で
自分に向けられた“殺意”を数える。
その後、脱力したように腕を下ろした。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年3月19日 9時
