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「まぁ、殺しはしないよ。」
「ど、どういうことですか⋯？」
「殺しはしない。食われるのは⋯覚悟した方がいいかな。」
「⋯！！」
なんだか怖いことを言われた気がする。
食われるのは覚悟した方がいいって、ことは。
主様達は人を食べるってことなの⋯？
⋯やっぱり、獣⋯！
「大人しく着いてきてくれれば何も⋯」
「お断りします⋯っ！！」
伸ばされた手を払う。
ジッ！と嫌な音がした。
手を払ったと同時に木の枝に袖を引っ掛けて、腕ごと袖に切れ目を入れた。
深い傷ではないけど、腕には引っ掻き傷ができて、つぅと腕を伝うように血が垂れた。
「いた⋯っ！⋯ぁ、また⋯」
「血⋯？」
コウタさんの目付きが変わる。
いつの間にかあの真っ赤な目で私の腕を凝視していた。
そういえばあの時⋯
ダイキさんも私の血に反応していた気がする。
「⋯なるほど、ね⋯」
「な、なんですか？」
「裕翔の予想、当たってたんだ。さすがに君から微かに香る匂いだけじゃわからなかったけど。」
「⋯？なんの話ですか⋯？」
「つまりね、」
目を赤く光らせたままぶつぶつと話しだすコウタさん。
一体何の話をしているのか、私にはさっぱりわからなかった。
私はしどろもどろになって立ち尽くしていた。
すると突然背後から声がして、引っ掛けた腕をぐいっと掴まれた。
「君の血はトクベツってことだよ。」
「リョウスケさん⋯！？」
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作者名：ねむり | 作成日時：2020年1月27日 2時
