9 ページ11
「誰にやられたんだ?」
「⋯いや⋯」
「⋯ちょっと失礼するよ。」
カバンの中から傷薬を取り出す。
フィオーラに教えてもらった傷を癒して早く治す薬。⋯独特な匂いがしてちょっと臭いんだよね。
それを男の傷に塗って応急処置で包帯を巻き付けた。
「⋯この匂い⋯」
「はい、出来た。まだ痛むだろうけどもう半日も休めば多少マシにはなってるだろう。早めに医者にでもかかりな。⋯ってこの国に医者はいないから隣国まで出向かなきゃいけないけどね。」
「この薬は⋯」
「これは⋯育ての親に教えてもらったちょっとワケありの薬。配合とかは教えられないけどね。」
「ありがとうございます。」
さっきより顔色が良くなった男はおずおずと礼を言った。
「じゃあね、私急いでるから。」
と立ち去ろうとした時だった。
「見つけたぞ!」
遠くから見覚えのある服を着た複数人の人が走ってくる。
⋯女王の兵士隊だ。
フィオーラを連れ去ったあいつらの姿を忘れたことは無かった。
だが今更何の用だ。
と思った時だった。
「エメラルドの都の王子⋯いや、元王子よ。女王がお呼びだ。ご同行願おうか。」
用があるのは私ではなくこの男の方だった。
しかも、この国の王子⋯?
「⋯嫌だ、まだ僕は捕まる訳にはいかない⋯」
「そんな傷では何処へも行けまい。さぁ行くぞ。」
隊長と思わしき人が男を連れていこうとした。
「⋯
「うわっ!!」
地面からいばらが突然現れて兵士隊を男から退けた。
私が詠唱した、軽い魔法でね。
「貴様⋯なんだ!?まさか、魔女か!?」
「悪いけど私、たった今こいつに用が出来ちゃったから。どーぞお引き取りを。
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねむり(プロフ) - Rare fruitさん» ありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!!こっちは感覚を開けて大量に更新していくので少し間が空きますが両方とも頑張っていくので楽しみにしててください!! (2020年9月27日 23時) (レス) id: 48a0a8985c (このIDを非表示/違反報告)
Rare fruit(プロフ) - すごく面白いです!設定がしっかりしていて、すごいなあって思っています。満月愛想曲も読んでいます。両作品とも続きが楽しみです更新頑張ってください! (2020年9月26日 23時) (レス) id: 362d8b3af6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねむり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yamane/
作成日時:2020年9月19日 2時