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大広間の外から声をかけたのは有岡さん。
飛んでもなく不思議そうな目で私を見ていた。
私は何事も無かったかのように立ち上がり、掃除を再開した。
大「怪我してない?」
「大丈夫です。お見苦しいところをお見せしました。」
大「いや、それはいいんだけど⋯。」
「あっ、何か御用でしたか?」
大「ううん。大した用事じゃない。ご飯美味しかったって言いに来ただけ。」
どうやら皆さん起き始めてきたようで、朝ごはんも食べたみたいだった。
あとで鍋とか皿片付けに行かないと。
「お口に合いましたでしょうか?」
大「うん。Aちゃん料理上手だよね。」
「そうでしょうか?そんなに大したものは作ってませんが⋯。」
大「いやいや何言ってんの。美味しいしバランスも彩りも完璧。シェフみたいだよ!」
「お、大袈裟です⋯。」
褒められて照れくさくなって俯いた。
誰かの為に何かをしたら、ここの人達は褒めてくれる。感謝してくれる。
それって本当は当たり前のことなんだけど、私にとってはすごくすごく嬉しいことで。
心の中でぐっと拳を握った。
大「ここの掃除終わったら何か用事ある?」
「いえ、終わったら別の部屋の掃除をするだけですが。」
大「じゃあここ終わったら一旦中断しよ!」
「えっ、でも。」
大「買い物、付き合ってくれない?」
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作者名:ねむり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yamane/
作成日時:2022年11月3日 2時