満月愛想曲 ‐PARADE‐

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黒い封筒には1枚のメッセージカードが入っていた。



"素敵なお嬢さん

貴女を当屋敷のパーティのVIPゲストとして招待させていただきます。

今宵満月が高く空に上がる頃、迎えに参ります。
一緒にお送りしたドレスを着てお待ちください。"









⋯パーティ⋯
⋯パーティ⋯！？
お嬢さん？私？私が！？

パーティに行けるの！？


ガサガサと荷物を解くと薔薇のように真っ赤なカクテルドレスとヒールの高いぴかぴかの靴。

試しに着てみると、まるで誂えたようにピッタリだった。
地味な私にとっては派手すぎるくらい素敵なドレス。


ねぇ本当に？本当にパーティにいけるの？
夢じゃない？
誰かに騙されたりしてない？









｢⋯痛い⋯｣









ぎゅうと頬を抓る。
夢じゃない。夢じゃないんだ⋯
本当にパーティいけるんだ！！
あの頃絵本を読んで憧れたパーティに！


どうして私？
一体誰から？
そんなの気にしてられないくらいに嬉しい！



ドレスを丁寧に脱いで畳むと普段を着て、家を飛び出した。


シーラに知らせなきゃ！
私パーティいけるんだって！


街まで空でも飛べるくらい軽い気持ちで走り出す。
街までの道はすごく遠くて、走ればすぐに息が切れてしまう。

でもそんなのかまわない。
すっごく楽しみ！！




今ならなんでも出来ちゃいそう！

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