新月幻想曲-Fab-3 (ページ10)

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「嬉しいです。私、自分の将来のことで初めて人に前向きな答えを貰いました。」

裕「そんないいこと言ってた？」

「はい。すごく。ありがとうございます。」

裕「⋯うん、はは。良かった。」

でも無理はしないでよー？と頭をぽんと撫でられた。
相変わらず冷たい手。なのに、心地よい温かさを感じた。

裕「もし題材に困ったら俺らのこと書いていいからね！もちろんフィクション、ってことにしてほしいけど。」

「そうですね⋯前向きに検討させてください。」

裕「Aちゃんの書く物語読むの楽しみだなぁ。」

この話が遠い未来の話にならないように、私も少しずつなにか書いていこうかな。
せっかく頂いた言葉を無駄にしたくない。

初めて貰った前向きな言葉。夢への道に背中を押してくれる人。
ああやっぱりこの人達、優しい人だなって。
久々に心が柔らかくなる感覚がした。

「私、頑張ります。」

裕「うん、応援してる。⋯あ、こっち見て。」

「はい？」

ｶｼｬ

中島さんはいつの間にか手にしていたスマホで私を撮った。

裕「ごめん、すごくいい顔してたから撮りたくなった。」

「は、恥ずかしい⋯。」

裕「誰にも見せないよ。」

「そうしてください⋯。」

赤くなる顔を必死で隠した。