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宏「じゃ、帰ろう。」
「はい。?」
手を差し出された。
何の手⋯手を繋いで帰る?
私はおずおずとその手を握り返すと薮さんが握る手に軽く力を入れた。
「えっ⋯!?わ、私の部屋⋯!」
宏「初めて会った時は説明しても理解して貰えないと思ったから目瞑っててもらったけどね。もう隠す必要も無いからさ。」
視界に光が入ってくる。
外の冷たい空気が急に消えて、一瞬のうちに私は薮さんと共に自分の部屋に移動していた。
薮さんと初めてであった時に体験したマジック、瞬間移動を私は改めてこの身で体感した。
「す、すごい⋯!」
宏「びっくりした?」
「薮さん、魔法使えるんですか?」
宏「魔法⋯っていうか、それぞれに持った能力みたいなものかな。君には効かないけど伊野尾の魔眼もそのひとつだし。」
「⋯⋯。」
宏「あれ?固まってるけど。」
「いえ⋯感動しています。」
宏「なんか喜んでくれてるみたいでよかったよ。」
平々凡々な現実世界を過ごしていると思ったけど、私の身近で今こんなにファンタジックな出来事が起きているなんて。
すごい。
本当に物語の主人公になっちゃったみたい。
他の皆さんも何か出来るのかな⋯今度聞いてみようかな。
宏「じゃあね、おやすみなさい。」
「ありがとうございました。おやすみなさい。」
その夜はぐっすり眠ることが出来た。
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作者名:ねむり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yamane/
作成日時:2022年5月18日 15時