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「⋯⋯ぁ、⋯はい。」
宏「やっぱりね。」
「え?」
宏「前々から思ってたけどAちゃん、自分のこと話したがらないよね。」
「⋯そう、でしょうか⋯?」
宏「特に親御さんのこと。俺らが吸血鬼だということを知った時より、親御さんの話題になった時の方がすごく動揺してる。⋯何か事情がある?」
「⋯⋯⋯⋯。」
私は口を結んだ。
別に、彼らに何か関わりがあるわけではない。
ただの他人の家庭事情。
言ったところで何も関係ない。のはわかっている。
わかっているんだけど。
⋯言いたくない。
話したら思い出してしまうから。
そうやって私は嫌な過去を今という現実で只管に塗り潰していく。
本当に、愚かな子供。
宏「⋯無理には聞かないよ。ただ、何か悩んでるなら抱え込みすぎないでね。」
「⋯ありがとうございます。」
山田さんも薮さんも、すごく優しい人だな。
もっと前から出会っていたかった。
「皆さん、優しい方ばかりですね。」
宏「そうかな?そうでも無いと思うよ。」
「?」
宏「それとか。」
薮さんは私の首に貼られた絆創膏を指した。
宏「さっきは付いてなかった。首に噛み付くのは自制下手なやつ。ちょっと処置が雑っぽくなってる感じ。⋯山田かな?」
「⋯!!」
め、名探偵⋯!!
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作者名:ねむり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yamane/
作成日時:2022年5月18日 15時