新月幻想曲-Fab-3 (ページ23)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:7,495 hit

83 ページ23

「⋯⋯⋯⋯⋯わかりました。」

涼「何その間。」

「いえ。⋯あの、本当大丈夫ですか？」

涼「こっちの台詞。吸血鬼に血吸われて体なんともない？」

「今のところは⋯。」

明日から少し鉄分多めの食事はとろうと思った。

涼「まぁいいや。とりあえず座って。その傷放置したままじゃ俺がどやされるから。」

山田さんの部屋の椅子に座らされて、私は傷の手当を受けた。

涼「こういう時圭人居てくれたら楽なんだけどな⋯。」

「？」

涼「こっちの話。」

皆さんの他にも吸血鬼がいるのだろうか。
誰だろう、圭人って⋯。

そんなことを思っているうちに治療は終わっていた。

涼「今度何か奢るからそれで許して。」

「えっ、いえ。お構いなく。手当して頂いただけで十分です。」

涼「いいから。今度聞くまでに考えといて。」

そうして私は山田さんの部屋から出た。
そのまま自分の部屋に向かって部屋に入る。

「はぁ〜〜⋯⋯⋯⋯⋯。」

本当、冷静でいられる訳が無いのだ。
急に思い出した夢のような現実、痛みと脱力。
そして⋯あまりに美しい顔と本能的な瞳。

「怖いってより⋯⋯⋯綺麗が勝っちゃうなんて⋯⋯⋯⋯。」

胸を抑えて私は深く息をついた。