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「⋯⋯⋯。」
親、親。
皆さんの注目が集まる。
脳裏に暗い記憶が過ぎった。
私は腹から絞り出すようにやっとで声を出した。
「お、お父さんは⋯いません。片親、で⋯⋯。それで、そのお母さん、は⋯⋯。」
言葉が続かない。
私は思った以上に過去を引きずっているようだ。
涼「お母さん、働いてて忙しいんだって。だから少しでも楽になるように高校から一人暮らししてんだってさ。ね?」
「あ⋯⋯はい。」
侑「なんで涼介が言うの。」
涼「だって昨日聞いたんだもーん。」
言葉につまる私に山田さんが言葉を被せた。
私の様子がおかしいから何かを察したのかもしれない。
⋯優しい人。
私も、いつかはちゃんと皆さんに私のことを話さないといけない。皆さんが話してくれたように。
宏「とりあえず、もう夜も遅いからここまでにしようか。付き合わせてごめんね。」
「いえ、私が聞きたいと言ったことですから。」
宏「こっちが迷惑かけることの方が多いと思うから嫌だったらすぐ言ってね。」
「はい。⋯⋯では、私は部屋に戻ります。」
大「おやすみなさーい。」
「はい。おやすみなさい。」
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作者名:ねむり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yamane/
作成日時:2022年5月18日 15時