魔女に花束、女王に刃10

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杖が無くとも放たれた魔法の茨は、頬を摩る王子以外の王子を突き刺した。
惨い光景は一瞬で、刺された王子達は全員煙を立てて消えた。









涼「ぅ⋯ァアアアアッ！！」









たった1人残された王子は苦しそうに叫び声を上げてその場に倒れた。









「⋯癒しの木漏れ日(ﾌｨﾚ=ﾗﾃﾞｨｿ-ﾙ)。」









怪我に自分の手をかざす。
切られた傷がミリミリと少しずつ塞がった。
流石に深すぎて完全な復活は無理だったが、それでもぶっ倒れる前に血を止めることが出来た。









圭「やまちゃん⋯！！」


雄「どうなってるんだ⋯？」


「魔法で作られた分身は完全に切り離された分身じゃなかった。分身はすべてオリジナルに繋がっている。思考も動き方も、痛覚も。」


光「痛覚も！？」


「1人が怪我をすりゃオリジナルにもその痛みが来る。全員自分と同じ思考で動ける代わりに怪我したら怪我した分自分に負担が来るってことだな。今の攻撃でこいつはここに居た人数分の体を貫かれる痛みを食らった。⋯まぁ、ちょっと可哀想だけどお灸を据えるにはちょうどいいくらいだろ。」









これで事は解決。
痛みで気を失った王子を連れ帰る為にだらりと伸びた腕を持ち上げた。









「⋯っと、重て」








ﾊﾞｼｯ








「ぐぁ⋯っ！？」









いきなり強く腕を振られて体を吹き飛ばされた。









雄「おい！」


「っ⋯！あ、ありがと⋯」









後ろに吹っ飛んだ私を雄也が支えてくれた。
王子はまるで死体が生き返ったかのように不気味に動き出した。
目は虚ろ、焦点があってない。









涼「⋯⋯マダ⋯」


「やめろ。これ以上は体を壊す。誰もお前が死ぬことを望んでない。」


涼「⋯⋯マダ負けてナイ⋯」

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