魔女に花束、女王に刃10

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宏「⋯っ！大丈夫か！？」


侑「ったぁ⋯ありがとう。」


涼「アハハ！ねェ、もう終わり？女王を倒しに来た割に全然大したことないじゃん！」









愉快そうに笑う王子に皆唖然としていた。

おかしい。おかしい。
今までは皆感情的になって、半ば強制的に力を解放する形になっていた。理性は全く無くて本能のままに私達を敵とみなして攻撃してきた。

だけどこいつ⋯全然違う！
自分の意思で力を手に入れて、自分の考えで動き私達を攻めてくる。

まるで元々自分の力だったかのようにコントロールしているのだ。









大「あんなん無茶しすぎだよ。すごい精神力⋯」


「どういうこと？」


大「女王の子の力って自分の感情が暴走してどうにもならないような感覚なんだよ。怒りたくて堪らない、泣きたくて堪らないみたいな⋯。なんかこう、わーっ！てヒステリックに叫んで当たり散らしたくて攻撃するみたいな感じ。それを山田は多分、めっっちゃ強引に押さえつけて我慢してるんだと思う。」


「すっごい膨れ上がって爆発寸前のところを無理やり抑え込んでるってことか。」


大「そう！」


光「あんなん体力の前に山田の精神が壊れそう⋯」


慧「逆に理性的になってるだけマシだと思う。本能剥き出しで攻撃されたら怪我程度じゃ済まないよ。それに、」









慧が周りに視線をやる。
高台の下には未だに気持ちよさそうに眠っている民衆が大勢いる。
確かに本能的に動かれたらたまったもんじゃない。
ここにいるどれだけの人に被害が出るか⋯。









慧「俺達の人数でここにいる人々を動かすのは不可能だからね。暴走する前に抑えないと。」


「⋯そうだな。」


涼「ねェ、何話してんの？俺も入れてよ？」


「っ！！」









大剣を手に飛びかかってきた王子。
慧を逃がすように突き飛ばして攻撃を杖で受け止めた。

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