第18話 宇宙よりも遠いイケメン 前編 ページ19
7月末、終業式当日。
ッバン!
「おい!シーズちゃん!A!」
廊下からダダダッと足音が聞こえてドアが勢いよく開いたかと思うと、奈那痔が大声で言った。
「合宿!するって!」
え…?
「おい、長七。こっち来い。みんな驚いてるだろ」
「あぁっ、ごめんごめん」
周りの人の事などすっかり忘れてしまっていた。ってそれより、今、奈那痔はなんて言った?
「がっ…しゅく…?」
「どういうことなんだ、長七」
「あ、うん。昨日、灘花先輩と廊下ですれ違ったんだよ。その時、『明日朝5時、整ヶ崎駅前、来れる人は来て欲しい』って」
な、なんだそれ。
「いくらなんでも急すぎる。持ち物とか、そういう話は聞かなかったのか?」
「はは…ごめん。すぐ行っちゃったから…」
「そっか……」
うーん合宿かー…。本当はすっごく行きたいけど、やっぱり体育祭の雰囲気を引きずってしまうんじゃないかな…。
「マッシュ先輩は…来るのかな」
「っ…あー」
「どうだろうな」
「…でも、俺はあの事を引きずっていたくない。これからもミニ四駆ダンス、やっていきたいよ」
奈那痔は本当に心からそう願っているようだ。
「俺もだ。あれでは後悔しかない」
「私も。…じゃあみんな、合宿は…」
「「行く」」
「決まりね!」
私は大きな不安と、少々の希望を抱いていた。
ー
朝5時整ヶ崎駅前。
「っはは…嬉しいな…こんなに集まってくれるなんて」
灘花先輩は涙ぐんでいるように見えた。
「あたりまえっすよ。灘花先輩」
元木先輩が、灘花先輩の顔を隠ように話しかけている。
「あとは…」
「よーっす」
瞬間、部員全員が驚きの表情を見せた。
「論(先輩)!?」
ウェーブの効いた長髪をなびかせながら颯爽と登場した論先輩に、はやくも私の頰は引きつった。
「や〜Aちゃん、今日もかわいいね〜」
「い、いや…そんな…」
チラッとシーズ君の方を見ると、身の毛もよだつような鋭い視線を送っていた。
「よーしじゃあ行こうか!10分後の電車に乗るよ」
さぁ、この合宿で体育祭の分を頑張ろう!
…ん?体育祭…あれ…なにかを忘れて…
「あの、マッシュ先輩は」
「さぁ、もう電車が来るから行こうか」
その背中は、何かを物語っているようで、物語っていないのかもしれない。
ー
ーまもなくー一番線ードアがー開きますー
プシューー…
タッタッタッタッ
「よーし、出発だー!」
タッタッタッタッ
プシューー…
「待って!」
ドアに滑り込んで来たのは、
マッシュ先輩だった。
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モッッッッ(プロフ) - はい!!!ありがとうございます!! (2018年1月8日 22時) (レス) id: 19e25ee5f7 (このIDを非表示/違反報告)
最中(プロフ) - とても面白いです!続き待ってます! (2018年1月8日 10時) (レス) id: 246d24c4fe (このIDを非表示/違反報告)
モッッッッ(プロフ) - おっそうだな (2017年9月23日 16時) (レス) id: 2e7e45d23c (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 面白いのですが、三点リーダ(…)は基本二個セットで使ったほうが良いかと思いました。 (2017年9月23日 11時) (レス) id: 2e7e45d23c (このIDを非表示/違反報告)
モッッッッ(プロフ) - ありがとうございます!これからも読んでくださると嬉しいです! (2017年9月18日 18時) (レス) id: 2e7e45d23c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モッッッッ | 作成日時:2017年8月9日 18時