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sideT. 24-5 ページ8

*



「柊生君結構遅くなるみたいだから、先に晩ご飯食べようよ」


サエコがそう言ったのは、火傷したAの手を包帯でグルグル巻きした後で、その言葉の後はいつもの如く何人分だよって飯が運ばれてくる。

今日はAもいる所為か、いつもよりその量が多い気がしないでもなく……台所とリビングを行ったり来たりするサエコに呆れた溜息しか出なかった。


Aは何が気に入らないのか俺に反抗的な態度のままで、包帯巻かれた辺りから一言も話さない。

ただジッとリビングに座って、こっちも見ずに俯いてる。

時折サエコを盗み見して、また視線を床に落とし、


「あ!先に食べ始めちゃって!」


サエコにそう言われて晩飯を食い始めても、Aは一言も口を開かなかった。


俺に対しての機嫌の悪さが気に入らない。

"佑亮"と何があったのか知らねーし知りたくもねーけど、俺に当たられるのはなんか気に入らない。

こっちはいつも八つ当たりしたい気持ちを抑えてんのに、こうしてAは俺の気持ちなんかお構いなしに当たってくる。

そういう部分にイライラが募って、


「草川君はビールでいいよね?Aちゃんはどうする?」

「ビールでいいです」

「自分で取りに行け」


晩飯を半分くらいまで食った時、サエコの質問に答えたAに、今度は俺が当たり始めた。


でもこれは"佑亮"の事への八つ当たりじゃなくAの態度へのもので、爺ちゃんの教えには反してないと自分に言い聞かせた。

本心は当たってるけど言ってる事はただの注意。

別にマジでそうしろって思ってる訳じゃねーけど、そうした方がいいとは思う。


そうやって一応名目は立てて言った言葉は、


「いいよいいよ。Aちゃんはお客さんだし、わたし丁度お醤油取りに行くし」

「こいつ甘やかしてもいい事ないぞ。ほら、行って来い」

「いいってば草川君」

「いいから行って──…おい、聞いてんのかよ?」

「え?ごめん。聞いてない」


俺とサエコの言い合いになっただけで、当の本人は聞いてないらしかった。



*

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設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

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