検索窓
今日:1 hit、昨日:23 hit、合計:352,977 hit

sideT. 30-2 ページ50

*



「ね、ねぇ」

「……」

「大学、来るよね?」

「……」


背後から掛けられるそのAの声が聞こえない訳じゃない。

それでも俺は何も言わずにリビングに腰を下ろす。


さっきまで重なり合ってた唇が熱い。
その熱い唇から出るのは情けない溜息。


今のが最後のキスになる。


そう分かってたからこそ離したくないと思った訳で──…俺がどんな決意をするかなんて関係なく、Aは"佑亮"の元へ行く。

そんなAを「行くな」って引き止める根性もなければ、見送る根性すらない。


失恋の痛手に湧き上がるのは哀愁の感情。

胸が苦しいほどに痛くて目頭が熱い。
たかが恋愛事なのに泣きそうな自分が鬱陶しい。

そんな感情を抑える為にテレビを点けた俺は、テレビから聞こえてくる音よりも相当小さい物音に気が付いた。

それに気付いた次の瞬間には隣に座る気配を感じて、


「……何だよ」


目を向けたそこに、Aがチョコンと座ってた。


「昨日、あんま寝てないんだよね。誰かさんの所為で」

「知るかよ」

「だからちょっと寝る」

「はぁ?」

「おやすみ」

「おい」


俺の返事なんかお構い無しで、まるで独り言のようにそう言ったAは、その場に寝転び目を閉じる。



*

この小説の続きへ→←sideT. 30-1



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
648人がお気に入り
設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。