検索窓
今日:4 hit、昨日:23 hit、合計:352,980 hit

sideT. 29-9 ページ48

*



"最後"を決めた俺を煽るかのようなその言葉。

どっちにしてももう時間はなかったんだって気付かされる。



Aが俺の前からいなくなる。


今さっきまで手放す事を覚悟していたのに、実際それが現実だと分かると急に納得出来なくなる。


「……だから聞いてねーよ」


熱くなった喉から吐き出す強がった声は、自分でも吃驚するくらいに熱くて、


「聞いてるとか聞いてないとかじゃなくて、あたしはちゃんと言っておきたい派なの!」

「そうかよ」


抑え切れない衝動に体が勝手に動き出す。


ようやくこっちに振り返ったAに自然と伸びた手は、Aの腕を掴まえて、



「じゃないと"心配"に──…んっ!?」


力ずくでその唇を塞いでた。



右手でAを掴まえて、左手はAの後ろにある玄関扉に着いて、無理矢理作った逃げられない状況で唇を塞ぐ。

捻じ込んだ舌を驚きながらも受け入れるAに、やっぱ手放したくないって気持ちが生まれ、



「な……ん、……?」


唇を離したと同時にAが出した困惑の声に、





「慰めて」


卑怯で最悪な言葉を吐いた俺は再びその唇を塞いだ。



*

sideT. 30-1→←sideT. 29-8



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
648人がお気に入り
設定タグ:超特急 , タクヤ , 草川拓弥   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピカ | 作成日時:2016年6月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。